「イタリア紀行 下」
下巻、やっとこさ読了。
18・19世紀のワイマール・ドイツの作家、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによるイタリア旅行の見聞録であるが、帰国後、長い時間を経て書かれたものである。上・中・下の3巻。
再度、ローマに滞在した際の、古代遺跡や絵画、美術、好きな植物や鉱石の観察録。
30代後半となったゲーテのシツコい程の好奇心や探究心には、全く舌を巻くね。
しかし、上・下巻ほどローマ万歳って訳じゃないようだ。ローマ熱も冷めたのだろうか。
見て聞いたことをそのまま書くのではなく、それによって、ゲーテなりの考察が入り、時には体験したことが霞んでしまうような、鋭い感性を感じるから面白いのだ。
果たして、ゲーテにとって“美”とは何か?
「美の本性は、その内面的本質が思考力の限界外にあり、美の発生及びそれ自身の生成の中に横たわっているのであるという、まさにその点に存している。
美の美たる所以は、思考力がこれに当面して、何故に、それが美しいのであるかを、もはや問うことができないところにあるのだ。
というわけは、思考力には、それが美を判断し考察し得るための比較点が全然欠けているからである。
純真なる美に対しては、思考力によって包括されえない自然という偉大な、あらゆる調和的な所関係の一切をもってせざる限り、どのような比較点が存在しえよう?
自然のそこここに滞在しているあらゆる個別的な美は、あの偉大な全体のあらゆる関連総体が、その中に多かれ少なかれ顕現している限りにおいてのみ、美しいのである…」。
ひゃー。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。