【映画】「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」

小津安二郎監督の1932年(昭和7年!)の邦画「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」。

DVDを再生して音が出ないから、“あれ、壊れたか!?”と思ったらサイレント映画だった(笑)。

ウチの死んだ親父が生まれる前のめっちゃ古い映画だけど、世界的にも評価が高かったというだけあって、音声なしのサイレントでも、感情移入して鑑賞することができた。

現代にも通じるサラリーマンの人間関係を、子供の眼を通して描いて見せた喜劇のような映画だった。決して批判など凡庸な表現ではなく、あるがままにという感じだ。さすがは小津さん。

転校してきた兄弟と地元の子供たちとの関係(最初は必ず喧嘩する 笑)があって、兄弟が秘策を講じてガキ大将をやっつけるくだり、そして、皆で「うちの父ちゃんが一番偉い」と父親を自慢し合うやり取り、偉いと思ってた父親が友達になった子供の父親(上司)にペコペコする姿を見てショックを受けて拗ねる流れ、最後は父親といつものような関係に戻る…といったストーリーが、何か絵巻物を見てるようなホノボノとした気持ちにさせられる。

昭和世代の俺だったら、子供たちの行動は経験がなくともよく理解できる。不思議な遊びも。

また、メガネをかけたお母さんがいつも笑顔でとても優しい。

普段は、どっぷりと子供の世界にいるけど、父親と重役、会社の同僚との大人の関係をちょっと垣間見てしまう。子供たちが勝手にイメージしてた大人の世界が想像とは随分と違っていたのだ。そして、それを受け入れて少しだけ成長したのだ。

しかし、いつもは厳格な父ちゃんが友達の父ちゃん(上司)の前でおどけて見せて、シェー(by赤塚不二夫)のようなポーズをして、媚びへつらう姿は、サイレントの古い映画だけに可笑しかった。

その父ちゃんが、「子供たちにはこんな苦労をさせたくない」といい、兄弟は、「大きくなったら軍人になる」といい、サラリーマンの悲哀といったものを受け入れていくのだ。

古い電車が走ってる場面がいっぱい出てくるけど、当時の東急池上線だって。

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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。