「陰謀論」

ネトウヨに続く社会の禍となってるのが陰謀論者であるらしい。陰謀論者とネトウヨはとても近いけど。

日本ではまだ、“Qアノン”信仰の連中によるアメリカ連邦議会襲撃みたいな厄災となる事態は起こってないけど、ネット上(特にTwitter)ではQアノン、ディープステート(闇の政府)、反ワクチン、コロナ兵器など、荒唐無稽な陰謀論が跋扈して、信じてる人も多くて影響力を持ちつつあるようだ。

陰謀論とは、「事件や出来事について、事実や一般に認められている説とは別に、策謀や謀略によるもの」と解釈する考え方である。策謀や謀略を説く者は、最初は個人であっても、後に組織や団体になることも少なくない。

陰謀論は、偶然に起こることはない、見かけ通りのことはない、全ては意図されたもの、という特徴を持っている。そもそも陰謀論者は、現実が、彼らが想定する“あるべき現実”との乖離が大きいことへの不満があって、陰謀論でそのギャップを埋めるという側面もあるようだ。

陰謀論者が厄介なのは、何か小さなキッカケでもあって、自分の立場を固めると、その立ち位置でしかモノを見なくなることが多い。特に、政治などの複雑な問題では、その立ち位置から解釈することで、本来なら複雑な問題でも都合良く単純化され、納得することができる。そして、自分の立ち位置と違うところから出される意見は全て“陰謀”と判断してしまえば単純で楽で良いのだ。自分の立ち位置が崩れないように、例え突飛であっても、整合的に解釈するために。つまりは、思考・哲学することを止めることである。自分が信じるモノが否定されるのは誰だってイヤだからね。

この新書では、多数のアンケートによるサーベイ実験により、陰謀論を受け入れる人の特性を導き出しているが、意外とSNSの利用と陰謀論受容の間には強い関係があるといった説は必ずしも正確ではない。そして、陰謀論を信じる人は若い世代よりもミドル層以上の年配が多いことがわかる。

陰謀論が盛んなTwitterでは、「自分は陰謀論の影響は受けないが、第三者の他者は影響を受けている」と対岸の火事のように思ってるヘヴィー・ユーザーが多いようだ。

陰謀論を受け入れる人で、特徴的なのは、例え、ネットで半島や大陸を攻撃する言説を呟くネトウヨやオンライン排外主義者であっても、自分たちを“右”と位置づけられるのを嫌い、自らをあくまで“普通の日本人”だと自称する傾向が強いことだ。こうした連中が、陰謀論に飛び付きやすい。つまり“普通の日本人”こそ陰謀論を信じる傾向にある。

一方、“左”、リベラル派は、選挙の大敗や政党の不甲斐なさ等で常に裏切られてきたことから、選挙をはじめとする現行の政治制度に対して懐疑的な目を向け、そこに陰謀論が入り込むことがあるようだ。

政治的な陰謀論に引っかからないために、政治に関心を持って、政治的な意見を持ち、政治に詳しくなればなるほど、つまり“染まり過ぎている”ことになれば、逆に陰謀論に吸い寄せられている。

多くのメディアに接している日常で、陰謀論に騙されることのないリテラシーを持てといわれても、どのようにすればいいのかわからないことが多い。筆者は、うわさ話を見聞きした場合に、「それは自分が考えていたことと同じだ」と思ったら要注意だと常に認識しておくことだという。そして、そのようなうわさ話は、「たまたま耳に入った」のではなく、知らないうちに、自分の方が接触しに行ってる可能性があるということを自覚しておくことが、ひいては陰謀論から身を守ることになると書いている。

つまりは、自分の中の“正しさ”を過剰に求め過ぎないということだな。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。