【洋画】「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

アカデミー賞各賞を受賞した、2017年のジョー・ライト監督の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(Darkest Hour)」(英・米)。チャーチルを演じたのは名優ゲイリー・オールドマンだ。

第二次大戦中、首相に就任したチャーチルが、初期のナチス・ドイツの猛攻に対して、ヒトラーの思いのままになる和平交渉を進めるべきとする議員たちの反対を押し切って、徹底抗戦に臨むまでを描く。

戦場は出てこなくて、ほとんど国会議事堂内など、部屋でのやり取りに終始する。

第一次大戦時、海軍大臣だったチャーチルは、作戦の失敗で多数の兵士を亡くしたこともあって、現実を見ない大言壮語の人物と評価は低かった。彼の演説も、「血、労苦、涙、そして汗」を強調するだけで、具体的な策を言わないとして批判された。

ナチスの猛攻はベルギー、オランダを抑えて止まることを知らない。チャーチルも、ついに懐柔策を考えるが、戦争継続を支持する国王ジョージ６世の訪問を受けて、一部の市民の意見を聞き、閣外閣僚や他の議員たちに演説したところ、彼らも降伏する気はほとんどないことを知る。晴れて戦争継続・徹底抗戦へと至るという話だ。

チャーチルのことはあまり知らなかったけど、彼の、イギリス人としてのプライドと名誉、誇りが、多分、時代にマッチしたのだと思う。だから、現実を見ない愚将とも、勢いのある賢将とも評価できるだろう。

もしかしたら、ナチスの危険さと猛攻、その後の挫折を正確に予言したのかもしれないけど、腹の出たムッソリーニのような体型の、勢いと感覚で押す、まさに“ドーチェ”みたいな人物だったのかも。

理論よりは体験から来る感覚と押しの強さである。多分、合わない人物も多かっただろう。

ヘーキで末端の兵士を勝利のために死に追いやるところは、損して得取れの戦時のリーダーらしいかも。

こういう人物の勢いのある行動は、バカを酔わす自己啓発の材料に使われそうだね。戦争は最初は理論でも、危機が来ると、あとは概念と精神力が柱になるから。日本も、何をか言わんやだろう。

「我々は戦う。岸辺で、上陸地点で、野原で、街路で、丘で。我々は決して降伏しない。万が一、広く本土が征服され飢えに苦しむことになろうとも、我が帝国は海の向こうでイギリス艦隊に守られつつ、必ずや戦い続けることだろう」byチャーチル

チャーチルが独り地下鉄に乗って、市民の意見を訊くというシーンは本当のことだろうか？