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「凶獣」石原慎太郎

図書館で見つけてビックリした。あの石原慎太郎氏が附属池田小事件の宅間守(元死刑囚)について書いてるなんて。

しかし、あの陰惨な事件を題材に、担当した臨床心理士や弁護士へのインタビューも盛り込んだ、数時間程で読める簡単な内容なんだが、いったい石原氏は何を言いたいのだろう?

「人間の世の中が不条理に満ち満ちている」から、時に、こういう事件が起きてもしょうがない、不可抗力の宿命がある、とでも言いたいのか?

「私の子どもが殺されたら、裁判の場で仇討ちをする」というのは石原氏らしいが(皆そう言うができるわけがない、アホか)、書くのは憚れるのか、はっきりとしないのだ。

インタビューで、「電気椅子はないのですか?」とか、「物書きとして人間そのもの存在を考えた時に宅間の深層心理に興味がある」とか、おいおい、今さら何を言ってるの、石原おじいちゃんよーってな感じだよー。文もつたない感じだし。あのブチ切れまくりの素晴らしい作品「太陽の季節」を書いた芥川賞作家とは思えないよー。これが「老い」ってものなのかしら。

宅間守も、幼少期に、父親の圧倒的な暴力と、「産まなきゃ良かった」と言ってた母親のネグレクトで、やはり脳に機能的な障害があったらしい。先天的ともいえる脳機能の特異性に劣悪な環境が加わって、ああいう攻撃的な人間が出来上がったとしている。統合失調症で精神病院にも通ってる。

しかしながら、凄まじいね。宅間の半生は常に攻撃の連続で、心の内は草一本生えてない荒野のようだ。執行の前に結婚した死刑廃止論者の年上の女性に少しだけ心を開きつつあったみたいだが。

ここまで来ると、生まれながらの不完全な障害人間で矯正なんて不可能であり、本人も強く望んでたので早期の死刑もやむなしかなぁと思っちゃうね。それじゃいかんけど。石原おじいちゃんもそういうことが言いたかったのか?

脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。