【古典映画】「さよならをもう一度」
1961年の仏・米モノクロ映画「さよならをもう一度(Goodbye Again)」(アナトール・リトヴァク監督)。
フランスの作家サガンの小説の映画化なんだね。
全てが、センス良く洒落てて、ウィットに富む、悲劇の恋愛メロドラマとなってる。
平凡に暮らしたい、満足する女性の幸せとは一体何なの?って思いを持つね。
出演は、イングリッド・バーグマンやイヴ・モンタン、そして、若きアンソニー・パーキンス等、錚々たる面々。
ある会社の重役ロジェ(イヴ・モンタン)と5年越しの付き合いである古物商のポーラ(イングリッド・バーグマン)。
ロジェが、縛らない、縛られたくないと恋愛にも自由を重んじるために、2人はまだ結婚に至ってない。
ロジェは持ち前の明るさと積極的な態度で、隠れて、すぐに女性を引っかける。
そんなロジェにポーラは気をやむが、問いただすこともしないし、嫉妬を表にも出せないでいる。
そんな時、ポーラは、大富豪のアメリカ人の婦人をお客に持つことに。
その婦人にはフィリップ(アンソニー・パーキンス)という一人息子がいて、ポーラの美しさに魅了されたフィリップはポーラに積極的にアプローチしてくる。
フィリップは、ポーラに対して、とても積極的で情熱的だといえるが、彼女の店の前で待ち伏せしたり、今でいうとストーカーみたい。
でも、ポーラがロジェの態度に不満があったことから、フィリップの一途さにほだされて、ついでに母性本能もくすぐられて、ついに彼と同棲することに。
しかし、ポーラが40、フィリップが20代という歳の差は価値観の違いを生んで、世間から見ても奇異に映る。
フィリップとの同棲を知ったロジェが、ポーラへの愛の深さを再確認して、「本当に愛してるのは君だけだった」と告げたこともあって、ポーラは再びロジェの元に。2人は正式に結婚する。
フラれたフィリップは可哀相だけど、ポーラは、これでやっと私にも遅れた幸せが訪れる、と思うも束の間、ロジェとのディナーの約束を、仕事が入って行けなくなったとロジェに断られ、独りまた思い悩む…。
イングリッド・バーグマンが、恋愛や幸福という概念がわからなくなった中年女性を見事に演じ切っている。すぐに真実がバレそうな危うい美しさが、また痛々しいね。こういうタイプの女性は常に不満を持ってるものだ。
イヴ・モンタンは、完成された大人の男って感じで、中年女性には愛想を尽かされ、若い女性には手玉に取られるけど、俺には仕事があるさと、どこか斜に構えた態度。
アンソニー・パーキンスは、まだ若過ぎてトンガってるが故に、やっぱり狂気を感じてしまう。
常によろめき婦人のポーラ、したたかな仏男ロジェ、狂気を感じるナイーブな青年フィリップの恋愛模様、フランス映画の王道って感じだ。
結婚は、最初は恋愛、次に習慣、そして、契約へと移行していくもので、ある意味、人生の修道院に入るようなものだ。俺は契約になる前に破綻してしまったけど。