【古典映画】「紳士協定」
1947年のアメリカ古典映画「紳士協定(Gentleman's Agreement)」(エリア・カザン監督)。
差別・偏見をテーマにした重い作品だったとは。
ハリウッド“赤狩り”の前の作品だけど、監督自身が元共産党員でありながら、司法取引で、たくさんの同志らを告発した背景を知ると(←そのために自由に映画製作ができた)、差別・偏見といっても白々しい感じもするけどね。
結局はカトリックの白人かよって気がしないでもないが、でも、この映画は、ハリウッドで、ユダヤ人への差別・偏見をテーマにした最初の作品らしい。
アメリカに根強く残る反ユダヤ主義についての記事を依頼された、やもめ暮らしのライター、フィル(グレゴリー・ペック)が、8週間、自らをユダヤ人と偽って取材を進めることに。
彼がユダヤ人という話はすぐに広まって、周辺は距離を取るようになる。
ユダヤ人の立場になって、初めてわかる様々な差別・偏見。
彼が書いた記事は大反響を及ぼす…。
記事を考えたのは、編集長のバツイチ娘キャシー(ドロシー・マクガイア)で、フィルとキャシーはお互いに惹かれ合い、困難を乗り越えて結婚するに至る恋愛劇も盛り込む。
ユダヤ人と偽って、初めて知る周りのユダヤ人への理不尽な態度。自分の職場である出版社内でも差別・偏見が存在することに気付く。
アメリカだったら黒人もそうだけど、差別・偏見というのは、常に様々な場で、次から次へと生まれているものだ。それは、異質な相手への警戒心と、常に自分を相手よりも優位な立場にしておきたいという人間が持つ(負の)社会性に繋がってるからだと思う。
人間は学習する動物だから、人種や民族への差別・偏見は、徐々にではあるが、少なくなってきていると思うが、資本主義経済下による富裕層による貧困層への差別・偏見は激しくなって来ているんじゃないだろうか。
フィルの台詞…。
「ユダヤ人擁護者が、反ユダヤ主義に表面では反対して、逆に反ユダヤの連中を助けている。ユダヤ人への差別を愚劣で卑怯だと思ってるリベラルな人間達がだ。いい人達がこの問題を根深くしてる事に僕は気が付いたんだ」
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対するキャシーの台詞…。
「私はユダヤ人でない事を喜んでるわ。この優越感は偏見ではなく現実よ。あなたは現実をねじ曲げ、形の違うものに変えてしまうのよ。あなたは私たちの幸せを奪ったのよ。あなたが憎いわ」
差別・偏見を目撃しても、眉をしかめるだけで何も行動しないと、差別者と同様、無意識のうちに差別感情を育てて、たまに申し訳程度に差別・偏見に反対する態度は問題だという。言葉よりも行動がモノをいうと訴える。
実際にはハリウッドを動かしているのは、圧倒的にユダヤ人が多いのにね。
そもそもフィルが、期間限定でユダヤ人になりすますということが、ユダヤ人に失礼じゃあねえのかって、ちょっと引っかかるねぇ。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。