「木を植えた男」
図書館で借りたフレデリック・バックのアニメ作品集。
初期の作品は、目にしたことがあるような懐かしい子供向けのキャラだけど、後半は、パステル調の色鉛筆を使った、柔らかい優しい繊細な描画でホッと息がつける。
フレデリック・バックは、40代で始めて、2013年に98歳で亡くなるまで、アニメを創り続けて、アニメの世界では巨匠として認知されている。
このDVDもジブリから出ていて、宮崎駿監督らと交流も深いという。
という訳で、9本の作品が収められているが、コンセプトは、簡単にいうと「自然讃美の文明批判」だと思う。本人も自然保護活動に熱心に取り組んでいたし、人間の社会がもたらす、過ぎた欲を捨てて、自然と共に生きよう、あらゆる生物と共存しようってことかな。ジブリだし。
しかしながら、人間が行う反自然的な悪徳も、自然である人間が行う事なので、やっぱり自然なのだと思うけどなぁ。
この地球、母なる大地が超絶的で素晴らしいのは当たり前のことで、それをイチイチ讃えるなんて、身内を讃えるようなもので、恥ずかしいとは思わないのかしら。オトナだったら、いい加減、独立しようよ。
もし神がいるなら問いたい。なぜ人に火を与えて、母なる大地を破壊する様に創ったのか?…。多分、人間は自然の存在でありながら、“罪”によって、この地球を破壊するように生きることを義務付けられた、矛盾した存在なのだよ。←ナンノコッチャ
ということで、あまりコンセプトに共感はできなかったけど、アニメ自体は独特で素晴らしいと思う。
「木を植えた男」はどこかで観たことあるなぁ。その男について、以下。
「情熱を勝利させるためには、あらゆる絶望と戦わねばならない。この類い稀な行いを理解するには、完全な孤独の中にいた事を忘れてはならない。あまりにも完全な孤独だったので話す習慣をなくしてしまった。あるいは話す事の必要性を認めなかった」
1971年に発表された最初の「アブラカダブラ」、太陽を盗んだ男から、女の子が太陽を取り戻すという内容で面白い。