【古典邦画】「出来ごころ」

おっと、小津安二郎監督作品で未見の映画があった。Amazonプライムにて。1933(昭和8)年の活弁入りサイレント作品「出来ごころ」。

原案のジェームス槇ってのは小津安のことだ。坂本武が演じる、下町のちょっとおバカな中年オヤジ、喜八が活躍するシリーズ作品の一つらしい。

喜八は、妻には先立たれ、一人息子の富夫がいる。
喜八はある日の夜、仕事仲間と飲んだ後、外に立ってた素性のわからない若い娘・春江と出会う。
喜八は彼女を助けて、知り合いの定食屋に預けるが、そのうち彼女に熱を上げてしまう。
しかし、春江は、喜八の仕事仲間の若い青年、次郎に惚れる。
が、次郎の方は彼女に冷たく接する。
喜八は、それを知って、仕事も休んで酒に溺れる毎日。
ついには、息子の富夫とケンカをする。
翌日、富夫が熱を出して伏してしまい、仕事仲間の次郎は、富夫が医者にかかるお金を工面するために、北海道の蟹工船に乗る準備をする。
その際に、次郎は春江に、実は自分も彼女が好きだったということを告白する。
2人を応援したい喜八は、自分が蟹工船行きの船に乗り込む。
しかし、途中で富夫が恋しくなって船から飛び降りる…という話。

小林多喜二も書いた蟹工船は、金は儲かるけど、重労働で帰って来れない、死ぬかも、という話が実際にあったんだね。

当時の、ユーモア溢れる人情話といったところで面白かったけど、小津安らしい“無常感”が全面に出てるってわけじゃない。

でも、年甲斐もなく若い娘を好きになってしまうという、寅さんにも通じるような気持ちはよくわかるねぇ。俺もしょっちゅうだから(笑)。

子役の子は突貫小僧という名で、小津安の映画には数本出てる青木富夫。青木放屁は異父弟だって。「シェー!」というおどけたポーズが可愛らしい。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。