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「鉄男」

久しぶりに塚本晋也監督の「鉄男」(89年)を観た。自主制作のインディーズらしいモノクロ小品で、映画というより映像作品だな。前衛的というか、塚本監督の表現が一気に爆発した感じ。

一応、ストーリーらしいものは、ある日突然、頰から鉄が生えたのに気付いたサラリーマンの主人公(田口トモロヲ)が、通勤途中に同じく鉄と化しつつあるメガネの女に襲われたり、数日前にクルマで轢いて山に捨てた男(監督)に復讐されたりしながら、自分もだんだんと鉄に蝕まれていく。

時折流れるBGMがノイバウテンじゃなく、テストデプトみたいなメタルダンスミュージック(かっちょええ!)でリズミカルにストーリーが流れていく。

「大概のことには驚かないから」を連発する寂しがり屋の恋人とアパートで絡むシーンが、ホントは汗ベタベタで人間性を感じるエロチックというよりキモいのだろうが、無機質に纏った鉄と澄んだ水のように流れる汗で、全然そんな感じがしない。なによりも主人公のアソコが鉄のドリルになってテーブルに穴を開けちゃうところなんてアーティスチックなユーモアセンスに思わず笑っちゃった。

最後の方、監督演じる男と対峙するが、メイクがフラットバッカーみたい(80〜90年代の派手なメタルミュージシャン)で懐かしく、戦闘ゴッコでも見てるみたいだった。

塚本晋也監督は何か鉄片へのアブノーマルでマニアックな嗜好があるのかしらん。硬い鉄とエロスとパッションとパワーの映像だ。←ナンノコッチャ

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。