「パニック・イン・スタジアム」
70年代パニック映画のひとつ、「パニック・イン・スタジアム(Two-Minute Warning)」(76年・米、ラリー・ピアース監督)。邦題の方がわかりやすくて良い。ガキの頃も昼のロードショーなんかで観たよねー。
66年に起こったチャールズ・ホイットマンのテキサスタワー銃乱射事件(15人殺害)をモチーフにしてるといってたけどホントかしらん。
週末、プロのアメフトの試合で超満員のロス・メモリアル・コロシアムの正面タワーに、ライフルを持った謎の白人男性が侵入、それを知ったロス市警とSWATチームが銃撃阻止に動くが、試合終了間際、ついに白人男性は観客席に向かって銃を乱射、スタジアムは逃げ惑う観客でパニックとなってしまう。
ロス市警警部役でチャールトン・ヘストンをはじめ、観客でも、当時のスター俳優がたくさん出演。顔はわかるが名前がわからんけど。
で、配役に金をかけ過ぎて予算がないのか、犯人が銃を撃つまでが長くて、迫力に欠けた、どうでもいい映像がダラダラ続き、肝心のパニック・シーンは意外に短い。
うーむ、パニック映画というよりも、ポリス・アクションといった方が良いかも。
ラストに、SWATの隊長とチャールトン・ヘストンが「明日になればTVが犯人の実像を伝える。そして、阻止できなかった警察への非難が集中するだろう」みたいなことを言ってて、彼らのヒーローぶりから、アメリカの保守層の考えが垣間見えるような感じがして、ちょっとない頭を捻っちゃった。チャールトン・ヘストンは全米ライフル協会の会長だったし。
撃たれるという突然起こった不安と恐怖から、大勢の観客が一斉に出口に向かって走り出すシーンを観てると、なんかブワーッと溢れ出したアリンコみたいで、そこには人間としての秩序も論理も正義も何もない。
多分、過大なストレスで脳の情報処理能力を超えてしまい、思考が止まってしまうのではないか。だから、弱者を踏んでしまおうが、突き落としてしまおうが、傷付けて殺してしまおうが、わからなくなってしまうのだ。パニックは人間を容易に動物に変えるから怖い。