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「マッドボンバー」
B級巨大生物モノでちょい有名なバート・I・ゴードン監督の、これまたB級(今観れば)犯罪アクション、「マッドボンバー」(72年、The Mad Bomber、The Police Connection、Detective Geronimo)を観た。
娘をヘロイン中毒で亡くした男が、社会を逆恨みして浄化しようと、次々とロスの公共施設をターゲットにした爆弾テロを起こす。ロス市警のミネリ刑事は爆弾テロが起きた精神病院で、同時刻に患者をレイプした男が爆弾テロの犯人の顔を見たと睨み、レイプ犯を探し出してモンタージュ写真を作らせる。モンタージュ写真で犯人がわかるが、その狂気の素性が明らかになる…。
一見、スーツを着こなした銀行員か公務員のような堅物だが、銀縁メガネの奥で目がギラギラしてる背の高い白人のオヤジが、裏ではアタマのオカシイ陰湿な爆弾魔というイメージが、演じた俳優にピッタリ過ぎて、それだけでも、さすが70年代のB級トラッシュムービーだと嬉しくなる。ゴミのポイ捨てから、大学生の性の乱れ、ウーマンリブ、ウエイトレスの接客態度まで、勝手に怒りをぶつけ、「コレが正義だ」と思い込んでる男は狂気そのものだ。
この爆弾魔は、40〜50年代に実際に30数カ所に爆弾を仕掛けたジョージ・メテスキーがモデルだという。
一方で、ミネリ刑事も犯罪者を憎むあまり強引な捜査を行い、レイプ犯も同じ手口で次々と見かけた女性たちを毒牙にかけていく。つまり、主な登場人物全てが狂気なのだ。最初から最後まで登場人物それぞれの異常性が強調されている。
爆弾テロに巻き込まれ、服は破けて、血だらけになった大学生や、最後の、自爆して肉片となってしまった犯人の様は、まさにB級テイスト。
爆弾魔とレイプ犯とサイコ刑事、狂人三つ巴の、「ダーティハリー」まではいかない、ちょっとズッコケた感じのB級バイオレンスアクションだな。
しかし、タイトルが三つもあるってのはどういうことだ?
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