【社会派映画】「第五福竜丸」

また、新藤兼人監督の社会派映画を。1959年公開の「第五福竜丸」。

事件で、「原水爆の犠牲者は、わたしを最後にしてほしい」との言葉を遺して、すぐに亡くなった無線長・久保山愛吉を宇野重吉が演じる。

昔、東京・夢の島に展示してある第五福竜丸の実物を見に行ったことがある。

第五福竜丸事件とは、昭和29年3月1日、遠洋漁業に出てた焼津の第五福竜丸の乗組員23名が、アメリカが行ったビキニ環礁での水爆(広島型原爆の3000倍以上の破壊力)実験により発生した(死の)灰を大量に被って被曝したもの。

当時、米ソ冷戦期のアメリカが警告もなしに水素爆弾の爆発実験を秘密裏に行った。

水着のビキニは“衝撃的”ということで、ココから名前を取った。

同船の乗組員たちは、遠く“ピカドン”の閃光とキノコ雲を目撃したので、アメリカにスパイとして攻撃されるのではと恐れて、無線もせずに内密に3月14日に焼津港に帰港。

彼らは、顔が黒くなって、気分もすぐれないことから、地元の病院を受診すると、大量の放射能を浴びた原爆症であることが判明する。

船体にも放射能が検出されて、捕ったマグロも捨てられて、日本中が大騒ぎになる。

被曝した船員たちは、東京の大病院に隔離移送されて治療を受けるが、無線長の久保山だけが病状が悪くて死亡する…。

だいたい事実に沿ったドキュメンタリー風の映画だと思うけど、第五福竜丸事件を知るには良いが、映画表現としてはイマイチだなぁ。

アメリカの専門家たちも来日するが、予想通りに、水爆実験の詳細を伝えることに消極的で簡単な補償だけを約束して帰る。日本側も苛立ってもムダで、まだ戦後の植民地的支配が残る政治状況で、結局、犠牲になったのは船員、漁民たちのみ。悲しいけどいつのもことだ。

2000年代までに被曝した乗組員の半数が放射能が原因とみられる病気で死亡しているが、当然、アメリカは認めてない。第五福竜丸以外の、地元の漁船等も被曝して3割以上の人々が放射能が原因で亡くなっている。

事件は反核運動や「ゴジラ」製作のキッカケにもなった。

アメリカは、この地で70回近くも核実験を行ってる。世界一の暴力国家、マジで狂ってるな。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。