「幽閉者 テロリスト」
パレスチナで日本赤軍と合流したことで国際指名手配、逮捕された足立正生監督の「幽閉者 テロリスト」(2007年)を観た。こんなDVDが菊池市のTSUTAYAにあったなんて。
日本では極悪犯罪者、中東では英雄の、テルアビブ空港乱射事件(72年)の岡本公三氏(ナンバ ダイスケ 笑)をモデルにした映画。主演は、狂気の演技が素晴らしい、ばちかぶりの田口トモロヲ氏。
ただ一人、イスラエルに捕まってしまった彼が、獄中で精神に変調をきたしていくのだが、殺してくれええ!という懇願の叫びや苦痛の声がいっぱいで、全編“痛い”映画だな。
実際には、岡本公三氏は、イスラエルの獄中で、こんなのはデューク東郷(ゴルゴ13)くらいしか耐えられないだろうと思われるような、モサドからの酷い拷問を受けて精神疾患を発症し、ヨボヨボで満足に言葉を発することもできなくなったという。
カメラアングルがとても近いし、画面の半分は暗いし、めっちゃ低予算っぽいし、下北沢か吉祥寺辺りの小さな劇場か大学のキャンパスで、前衛的なアングラ演劇でも見てる感じだ。
時折入る大友良英氏のターンテーブル・ノイズがカッコよくて良いし、頭脳警察のパンタやARATA、ジム・オルークまで出てて、なんか懐かしくて、俺の好きな材料は揃ってるのだが、後半から、現実と過去と幻想が混乱して、ナンノコッチャ???という場面数多し。それだけ岡本公三氏は精神が崩壊して狂気に陥ってしまったということだろうけどね。
今頃、岡本公三氏はベイルートでどう過ごしてるのだろう?好々爺にでもなってるのかな。彼の渡航費を負担したのは若松孝二監督なんだよねー。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。