【洋画】「エルヴィス」

エルヴィス・プレスリーの伝記映画、「エルヴィス(Elvis)」(2022年・米、バズ・ラーマン監督)。Amazonプライムで。

有名な曲は知ってたけど、あまり聴いたことがないプレスリーだが、全世界で10億枚以上と最もアルバムが売れたソロ・ミュージシャンなんだね。

大成功したロック・ミュージシャンには定番ともいえる、セックス、ドラッグ、ロックンロールよろしく、トラブルの連続となって、破滅的に、唐突に人生を終えてしまうのは、プレスリーも同様だ。

プレスリーが、白人でありながら、黒人居住区に住み、黒人のブルース・ゴスペル等の音楽の中で育ち、黒人の歌唱法を学んで、ロックンロールを作って、白人社会の中で大成功したというのは興味深い。

プレスリーの、独特の発声法や、当時猥褻とされた、リズムに合わせて腰をくねらせる踊りなど、彼の音楽のベースには、常に黒人のブルース文化があったわけだ。

同時期の、キング牧師の非暴力の黒人公民権運動と相まって、60年代のアメリカ黒人文化の自由と解放のために大きく寄与したのだね。

最初のライブで、思わず女の子がキャー!と叫んでしまうプレスリーのセクシーさったらないね。プレスリーは相当、マザコンだったらしく、その育ちが彼の醸し出す甘い雰囲気に大きく影響を与えてるのは間違いないと思う。

プレスリーの大成功の影には、やはり金に汚い敏腕悪徳マネジャーの存在が欠かせなかったようで、そのギャンブル狂のマネジャー、トム・パーカー大佐(トム・ハンクス)が、プレスリー(オースティン・バトラー)との日々を追憶する形で、映画は始まる。

ラスベガスでのショーを成功させたが、ストレスからドラッグ漬けの激太りとなって、結婚生活も破綻して、パーカー大佐に稼ぎの半分以上を搾取される。日本での公演も夢見たが、密入国者であったために海外に出られないというパーカー大佐が、海外公演の話を妨害し続ける。

パーカー大佐に多額の借金をしている形となったプレスリーは、彼との縁も切れずに、1977年に42才で心臓発作により急逝する。

プレスリーの音楽人生の光と影だが、後半、影ばっかりで鑑賞するのも辛かったね。

それでもラスト、実写も交じったプレスリーのソロ曲は、凄まじく、まさに魂を揺さぶる歌だ。

大成功して万人に支持されるようになると、必ず身を持ち崩すことになるが、周りに不相応な欲が集まってくるために、仕方がないことなのかもしれない。

プレスリーのロックンロールのベースとなった黒人ブルースでは、悪夢に魂を売ったとされ、27歳で早逝した伝説のロバート・ジョンソンのアルバムを、昔、iPodに入れてよく聴いてたな。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。