尾崎紅葉・幸田露伴
「日本文學全集」第2巻、「尾崎紅葉・幸田露伴集」を読了。
いずれも明治の作家だから、旧仮名遣い、漢文調(古文?)で書かれてて、イライラするし、めっさ読み辛かったなぁ。
でも、我慢して根気よく読み進めていくと、いつの間にやら慣れてきて、筋の流れが頭に入ってくるからスゴいものだ。
尾崎紅葉は、「金色夜叉」(コレには収録されてない)しか知らなかったけど、なんか華麗な貴族の文学なんだろうなぁと思ってたら、ほとんど女遊びの話だった。
一番長い「三人妻」なんて、商売で成功して大金持ちになった餘五郎という男が、3人も妾(愛人)を持つ話。
好みの女を見付けて、金にモノを言わせてものにして、なんと奥さんも同席させて花見の宴会を開く。妻も3人の妾も、それぞれタイプは違うわけで、そこで餘五郎に気に入られようと、女たちのドロドロの心理戦が勃発するのだ。
餘五郎が、気に入った女に夜這いをかける場面が出てくるが、当時はそういうこともマジであったのだろうか?
幸田露伴は、「五重塔」が一番有名なのかな?
怠け者の“のっそり”こと大工の十兵衛が、谷中の寺に五重塔が建立されると聞いて、「ついに俺の仕事が来た!」と寺の上人に「ぜひ自分にやらせてくれ!」と懇願、念願かなって、心をこめて、大工の技術を駆使して立派な塔を建てる。
出来上がった頃に、天気が荒れて激しい暴風が襲い、十兵衛は暴風で揺れ動く塔の上に独り立って自分の仕事を確信、暴風が去って塔は大丈夫だったという話。
自然にも打ち勝つ人間の仕事を褒め称える芸術至上主義みたいな感じで、後年の三島由紀夫にも通じるところがあるかもしれない。「一口剣」もそうだ。
「幻談」は面白かった。船頭と舟で魚釣りに出た主人公。何も釣れずに帰ろうとしてたら、海面に釣竿が一本、突き出しているのを発見。舟を寄せて海の中を見ると、溺死体が水中で竿を握ってる…という怪奇・幻想文学だった。