「つげ義春大全 第十六巻」
すっかり忘れていたけど、「頑張れチヨジ!」(byもっきり屋の少女)で思い出した「つげ義春」、御歳85歳。
客のいない田舎の古びた宿と、少々くたびれた女将とジイッと見つめるだけの物言わぬ子供、汚い四畳半の部屋に質素な食事、そして、やって来た旅する売れない漫画家。女将が入れてくれた風呂に浸かってると、妙に艶っぽい女将が入って来る。漫画家はたまらなくなって関係する…つげ義春さんの漫画はそんなイメージだ。
「ねじ式」のような抽象的で前衛的な作品もあるが、ホッと息がつける日本の原風景ってわけでもない。暗い影のある絵で、日本家屋や擦り切れた畳、温泉の湯けむりは印象的だが、垂れた乳を出して、肉塊のような尻を持つ女将に襲いかかる漫画家など、ドロドロとした臭い立つようなエロスも毎回描かれている。
やっぱり、“イマニミテオレ、オレダッテ…”と思いながらも、どっぷりと日常に埋没している人間を描くという内省的なトラウマでもあるんじゃないかと思ってしまうね。
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