【洋画】「ロバート・アルトマンのイメージズ」
Amazonプライムで見つけた1972年のイギリス・アイルランドのミステリー映画「ロバート・アルトマンのイメージズ(images)」。日本未公開作品。
監督は、既成の概念を覆す映画を撮る“ハリウッドの異端児”ロバート・アルトマン。
統合失調症(当時は精神分裂病)を患った女性が主人公で、幻覚が見えて戸惑ったり、パニックになったりする様子など、酷い統失だった俺の元妻そのままで、昔を思い出して、ノスタルジックに辛かったな。
そう、統失患者はその人なりに起こってくる幻覚・幻聴と日々、闘っているんだよね。そして、疲弊して、現実がわからなくなるんだ。元に戻ることはない。
主人公の女性はある日、夫が浮気をしているという友達の電話を受けて以来、死んだ昔の恋人の幻影を見るようになる。設定は、島尾敏雄の小説に近いかもしれない。変な言動を心配した夫は、彼女を田舎の別荘に連れて行き、療養させることにするが、彼女の幻覚・幻聴はますます酷くなる…。
低予算の退屈な作品ではあるけど、次から次へと幻覚が現れて、精神の安定を保とうと、必死にソレと闘い、現実から遠ざかることのないよう心労を重ねる彼女の様子が、俺には観ててあまりにも辛かった。
巧みな女性心理描写というよりは、統失であるために、そうならざるを得ない彼女の辛さが、俺には元妻との体験から、よくわかるからだ。
ただ、イギリスの田舎の風景は、とんでもなく素晴らしい。
統失は、薬で症状を抑えることは可能だが、今の段階では、根本的な完全治癒はあり得ないと思う。脳の成長期になんらかの原因でストレスみたいなものが過剰にかかると、多分、一生、その人をコントロールしてしまうことになる。
ハッキリと脳の、精神の“バグ”の要因が概念でしかわからないので、人間の脳はまだまだわからない、未知数の部分がたくさんあるのだなぁと思う。よくここまで進化したよね。