【邦画】「天国と地獄」
黒澤明監督の、1963年公開の映画「天国と地獄」。
まだ身代金目的の誘拐事件が起こっていた時代で、この映画が刑法の一部改正(重く)が行われたキッカケになったという。
会社の乗っ取りを狙う製靴会社の常務・権藤金吾(三船敏郎)の家に、若い男の声で「子供を誘拐した」という電話が入る。
そこに息子が現れ、イタズラだと思ってると、住み込み運転手の息子がいない。
誘拐犯は、子供を間違えたのだが、そのまま身代金3000万円を要求してくる。
自分の子供ではないが、権藤は、仕事で重要な契約金を身代金として用意し、地位も財産も失ったことで、世間の権藤に対する評価は鰻登り。
身代金を払って、子供は解放されたが、戸倉警部(仲代達矢)は、一つ一つ地道に捜査を進めて、主犯が権藤邸の近所の下宿に住むインターン(研修医)の竹内銀次郎(山崎努)という男であることを突き止める…。
戸倉警部率いる捜査陣が、残された痕跡を丁寧に追って、変装などをして、犯人に辿り着くまでは、眼が離せない面白さがある。
しかし、冷静沈着な戸倉警部が、犯人の卑劣な手口に激しく怒るシーンや、犯人の青年の自暴自棄な無頼派みたいな態度と、自宅の窓から見える山の上の豪邸で裕福な生活をしてる権藤に対し、勝手な憎しみを募らせるところ、犯人をわざと泳がせて、罪を重く極刑へと持っていく警察、そして、横浜・黄金町にたむろするヤク中のジャンキーたちを観てると、正義と悪をハッキリと際立たせた、何か意図的なものを感じてしまう。うがった見方かもしれんが。一筋縄でいかない人間の心理を否定するように。
列車の窓から、犯人の要求通りに身代金が入ったカバンを投げるが、このカバンは吉田カバンだって。
ラストは、死刑が確定した犯人の青年が、希望により権藤と面会することに。死刑など怖くないとうそぶく犯人だが、権藤邸が天国で、自分が地獄にいたと嘆いた後に、突然金網に掴みかかって絶叫する。刑務官に取り押さえられ、犯人と権藤の間にシャッターが降りる。
確かに社会派サスペンスとしては秀逸だが、何かシックリとこない後味の悪さを感じてしまうなぁ。
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