【映画】「激動の昭和史 沖縄決戦」
1971年公開の岡本喜八監督の「激動の昭和史 沖縄決戦」をAmazon primeで観た。
ネットで“凄まじい戦争映画だ”との評を見たからだが、71年の古い映画で今とリアル感の出し方が違うとしても、確かに衝撃的な映画だった。ちっと未完成な感じもするけどね。
冒頭の数十分を過ぎると、銃と爆弾の音がずっとBGMのように鳴り響く中、阿鼻叫喚、七転八倒の戦闘と死と狂気のシーンが最後まで、嫌って言うほど続く。
県民が15万人も死んだという沖縄の最期の決戦の模様を、時系列に史実に則して(多分、盛りもあると思う)描いたものだから、ドキュメンタリーみたいだけど、たくさんの昭和の名優が出演してる。
先に読んだ「戦艦大和」の吉田満(演じるのは寺田農)も出てきてビックリ。男子師範斬込隊の校長先生は天本英世だった。
銃撃戦や自決の他、自決を手伝う人、自決を強要する軍、バラバラになった手脚を持つ狂った人、野戦病院の死にかけ軍人、有名な自死を望む“ひめゆり学徒隊”…戦争の狂気と恐ろしさを、岡本流に描いてみせる。
「沖縄に部隊の派遣を!」と要請する、戦闘で汚れた司令官に対し、暖かい家の中でキレイな着物を着て、「玉砕せよ!」と命令する大本営の連中。
日本語で投降を呼びかける米軍に対し、「私たちは一緒に死にます!」と叫ぶ“ひめゆり”の女子。
「あなたは帝国軍人でしょ。ここは私たちの壕よ。どうして壕から壕へ逃げ回るの!」と軍に対して叫ぶ女子。
…切り捨てられた沖縄本土の悲劇だ。
昔の、日本流の「プライベート・ライアン」だな。
邦画で、戦争時における人間の狂気でいうと、やっぱり小林正樹監督の「人間の條件」(61年)を観たいな。全部で9時間31分の映画だけど。
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