【邦画】「宗方姉妹」
小津安二郎監督の「宗方姉妹」。1950年の公開。
原作は、大衆作家・大佛次郎の同名小説。
古い考えを持つ姉と、新時代の(当時)新しい考えを持つ奔放な妹。その2人を対比させながら、家族が移り行く様を描くという小津安定番の作品だ。
姉の宗方節子は田中絹代で、仕事を失った夫が毎日、酒を呑んで、プラプラ遊んでようとも、自分はBARで働いて、懸命に夫を支えてる。
夫の言うことはなんでも聴いて、決して夫を否定するようなことはしない。
「夫はいつかわかってくれる」と考えてる。
同居する高峰秀子演じる妹・満里子は、姉に負担をかける夫を嫌っており、BARで働く姉を案じて、姉の昔の意中の人とヨリを戻せないかと考えてる。
妹が、姉に「なぜ好きな人と結婚しなかったのか」と聞くと、姉は「自分の気持ちに気付くのが遅かった」と答える。
節子は毎日、夫を気遣い支えてたが、ある日、夫は別れ話をする。節子は驚いて問い詰めるが、夫は彼女を数発殴る。
その後、夫は突然、心臓麻痺で死ぬ。
節子は、昔の意中の人に「ウチに来ないか?」と誘われるが、「夫の死を背負ったままでは結婚できない」と独りでいることを告げる…。
「姉さんは古いのよ」と言う満里子に節子は返す。「私は古くならないことが新しいことだと思うのよ。ホントに新しいことはいつまで経っても古くならないことだと思ってるのよ」と。
父親はガンを患い療養生活を送り、節子の夫は心臓麻痺で突然死、節子は結局、意中の人とヨリを戻せない。いくら想いがあってもタイミングを逃すと二度と結ばれることはない。妹は現代風に刹那的に自由奔放な毎日を過ごしてる。
全てが中途半端な感じもするけど、そうやって移り変わる人間関係を描くのは小津安ならでは。観た後のモヤモヤした感じが残るのもまたイイ。
妹・満里子が、ペロッと舌を出すのがカワイイ。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。