【古典邦画】「青春残酷物語」

“松竹ヌーヴェルヴァーグ”といわれた、大島渚監督による、1960(昭和35)年のヒット作品「青春残酷物語」。

描かれた男女の自暴自棄な青春群像は、確かにヌーヴェルヴァーグっぽい。まず、青春時代が、明るく楽しいものばかりでは決してないということ。社会的自我が芽生えることで、常に、社会に対する怒り、苛立ち、不満、不安といった負の感情が自分を支配してしまうのが青春時代なのだ。

描かれた題材は確かに時代は大きく違うものの、それとは関係なく、若者は、反抗的で政治的に、自暴自棄に突っ走るのが、一種の常套手段でもある。

17歳の真っ直ぐな少女が、煙草を覚えて、男を知って、男に言われるままに大人から金を奪うことを覚えて警察沙汰になり、妊娠して、安定した生活を望み、しかし男はツレなくて、堕して絶望して、自暴自棄に車から飛び降りて死ぬまで。

男は男で、自分の破滅を予期していたのか、刹那的に女を突き放すが、チンピラヤクザの女を寝取ったことでボコボコに殴られて死ぬハメに。

若者の定番である反抗を、男女の違いも盛り込みつつ、シャープにスリリングに描いた秀作。

若者は、自己チュー的な価値観で現実を判断するために、政治も含めたあらゆる束縛から自由であろうともがくもの。それは無軌道な行動と素直な欲望に現れる。

男「俺たち、自分を道具や売り物にして生きてくよりほかないんだ。世の中がそうなってるんだ。俺一人いくら頑張ったって」
女「だから私達二人で」
男「二人になったってちっとも変わりゃしないよ。お互いに傷つけ合うばっかりさ」

久我美子が姉役で出てたなんてビックリ。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。