「死ぬ瞬間」

69年出版以来のロングセラーであるキューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」読了。
精神科の女医さんが末期患者を取材し、本人を中心に家族、医療スタッフ等の心の動きをレポートしたもの。
病気が治らず死を宣告され、受け入れるまでのプロセスは、①否認・隔離(驚き、嘘と疑う。絶望する)→②怒り(なぜ自分がと怒る)→③取引(治療に期待、信仰を持つ)→④抑うつ(あきらめる)→⑤受容(死を受け入れる)…だという。全員に当てはまるわけではないが。
末期患者が、ただ欲しいのは共感である。
「大丈夫?頑張れ!治るよ!」なんて言葉は全く意味がないどころか、患者をいらだたせる原因にもなる。身体の苦痛や医療スタッフへの不満、入院生活のことなど、そばにいてうなずいて聞くだけでもいいのだ。
患者が、この世との関わりを絶とうとしているのに、それを邪魔するような言葉を投げると、患者は目の前に迫った死を直視するのが難しくなるという。家族も覚悟が必要だ。
信仰も心を平穏に保つのにいい。死の向こうには無しかないが、極楽浄土に行く、天国に行く、神のそばに行くと信じることで死を受け入れることが楽になる。唯物論者で、若い頃は宗教を全否定してたが、やっぱり人間の歴史とともにあった宗教はそれなりに意味があるんだね。
どんなに最悪の病気であっても死の間際は皆穏やかになる。ただ恐怖だけが問題で、それを克服することがとっても難しいのだ。

キューブラーさん本人は、2004年に亡くなってるが、どうだったのだろう。臨死体験をし、チャネリングや死後の世界、生まれ変わりを信じるようになったというから、精神科医としてドラスティックに勉学を重ねても、死に対する恐れを現実として克服するのは容易ではない、というか不可能なのかもしれないね。

俺も、今考えてる自分が永遠に全く無くなること、自分がいなくなった世界が存在することを考えるのもチョー怖いよ〜。今は。これから先、年取るとともに、死が身近になってくるけど、だんだん受容できるようになるのだろうか。そういえば、倒れた時、ああ、もういいやとある種あきらめに近い心境になったことは事実だ。

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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。