【古典邦画】「東京のえくぼ」

1952(昭和27)年の、松林宗恵(シュウエ)監督作品「東京のえくぼ」。YouTubeにて。

大会社の青年社長役で、いつもイライラさせられる演技の上原謙と、そのデキる秘書となる丹阿弥谷津子(タンアミヤツコ)の、上質の恋愛喜劇だな。

デコちゃん(高峰秀子)が、丹阿弥さんの友人の婦人警官役でゲスト出演しているが、やっぱり輝いているね。

他にも、柳家金語楼、清川虹子、古川ロッパと、けっこう豪華な俳優陣だ。

会社の採用試験に行くバスの中でスリに遭遇する丹阿弥さん。
スリを捕まえてみれば、間違いでスリではなくて、実は、彼は大会社の青年社長であった。
毎日、上がって来る膨大な資料に判を押すという仕事に嫌気が刺した彼を、秘書として採用された丹阿弥さんが、内緒で外に連れ出して、庶民の生活や子会社の様子を見せる。
そして、青年社長は、人を信頼することの大切さを知り、改めて会社に戻って社長業に取り組む決意をすると同時に、丹阿弥さんに求婚するのであった…。

もどかしい上原謙に対して、丁寧な言葉遣いで、ハッキリと快活な丹阿弥さん、彼女の魅力が全面に出た作品だ。

大会社の役員らの大阪弁がスゴい下品に聞こえる。

小気味良いリズムで展開する、明るく、飽きさせない、良質なライト・ラブ・コメディであった。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。