【古典邦画】「風のある道」
文豪・川端康成が女性誌に連載した小説が原作というから観た。1959(昭和34)年の日活作品、西河克己監督の「風のある道」。Amazonプライムにて。
それぞれの道を歩む三姉妹を描くが、ギリギリまで結末が見えない、なかなか面白いサスペンス風のメロドラマであった。
芦川いずみ演じる竹島家の次女の直子が中心。
直子は、華道の一流派の後継者である光介との婚約が決まっているが、彼のズケズケと突き進む性格に一抹の不安を覚えていた。
直子は、光介が主催する新作発表会で、精神薄弱児専門の学校の先生をしている小林を知る。
小林の学校を訪れた直子は、子供たちに優しく接する小林に、徐々に惹かれていく…といった脚本。
小林の亡き父が、実は直子の母親のかつての恋人であったという運命的なサプライズもあって、女性にとって結婚とは、幸せとは、生き方とは、を問うような内容だが、自分が本当に望む道へと進むことが理想ではあるが、社会において、収入や安定性、世間体、プライドを重要視するのも仕方がないだろう。その先に幸せが待っていることもあるから。
従って、愛情とは確かな概念ではなくて、様々な周りの要因によって左右されるものであるともいえると思う。
母親と小林の亡き父との関係もあってか、父親の高秋は、まるで川端康成のように冷たくて、直子の結婚にも、あまり関心を示さない。そんな父親の高秋であるが、直子に「自分の道を歩まなかったという心の傷は、人を一生不幸にするものだ」という。
直子は、裕福な光介よりも、小林との生活を望むー。
芦川いずみには、清楚なイメージがピッタリだな。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。