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「渚にて」
スタンリー・クレイマー監督のモノクロ作品「渚にて(On the Beach)」(59年)。俺が産まれた1964年の話なんだね。「オーメン」のグレゴリー・ペックが主演。
原子(核)爆弾を使った第三次世界大戦後に、南半球(北は壊滅)で生き残った人々の生活、日に日に放射能汚染が広がり、人類が死に絶えるまでを描く。
米ソ冷戦の真っ只中に制作されたもので、多分、当時は現実味を帯びてて衝撃的だったんじゃないだろうか。見えない放射能にジワジワと汚染されていくなんて、現代日本にも充分当てはまるし。
別に、血や死体、戦闘シーンなど、派手な演出は全くないが、淡々と放射能で死ぬまでの日常を描いてて、それが逆に怖い。死ぬまでの時間はだいたい決まってるけど、特別なことをやるでもなく、普段通りに日常を送る。神に呼びかけたり宗教的行為に走る者がいたり、公的機関から致死量の毒(睡眠薬)をもらっても、普通にオシャレしてパーティを催し、海や川に遊びに行き、気に入った異性がいれば恋に落ちる。
皆、心では滅亡がわかってても、怖いからか、パニックになったり、直接にそれを言う者もいない。今までできなかったことをささやかにやってみたりはあるけど。
無人と化したロスの街並みなんて、一体どうやって撮影したのだろうか。
あと数日で確実に死ぬことがわかってたら、どうするだろうね。やっぱりもがいてもムダだから、今まで通り普通に日常を送るのだろうか。クソ老人どもと一緒なんて絶対にイヤだから、好きな子と一緒に過ごしたいが遠いしなぁ…。映画に出てくるようにのんびりと釣りもいいけど、やったことないしなぁ…。やっぱり俺は、なけなしの金を持って、ソープでも行くか(笑)。
最後まで観て気付いた。前にも観たな。
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