「怠惰の美徳」
小説「桜島」の梅崎春生は、戦後混乱期くらいに活動した作家だけど、最近の、怠惰をとんでもなく悪いこととする自己啓発的な風潮に疲れてしまう中で、彼の随筆を読むとホッとして、逆に気力が出てくるから面白い。
“怠け欲”に素直で、
「一日一二時間は眠りたい。できればずっと蒲団に居たい」
「生まれつき私はじっとしているのが大好きで、せかせか動き回ることはあまり好きでない」
「仕事がさし迫ってくると怠け出す傾向がある」
「自分が俗物であるという意識、どんな背徳無惨なことでもやれるという気持ち、これほど私を力づけてくれるものはない」
「どんな場合でも楽な姿勢をとりたい性質です」
「何だって私は楽な方が好きである」
…いいねぇ。
「三十二歳になったというのに まだ こんなことをしている」…酩酊と無為が好きな彼は50歳で早逝しちゃったけど。
しかし、梅崎春生は怠けることが大好きだけど、当時の世間の同調圧力に対して、一歩引いたところから、徹底して不服従を貫いた反骨の作家でもあったのだ。
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