【戦争映画】「パットン大戦車軍団」
「パットン大戦車軍団(Patton)」(1970年、フランクリン・J・シャフナー監督)。脚本はフランシス・フォード・コッポラ 。
intermission(途中休憩)が入る2時間強の映画。昔の定番の戦争映画って感じ。
第二次世界大戦で活躍したアメリカ軍の実在の将軍、ジョージ・パットンを伝記的に描いたもの。
彼は、「俺は死ぬほど戦場が好きだ。戦争が生きがいなのだ」というくらいの戦争狂、戦争バカだから、常に最前線に出てなくては気が休まらない。命令で後方へ追いやられてしまうと元気がない。戦場に行くことになると生き生きしてくる。
こういう人物は、部下に対しても厳しく、とにかく逃げ出すような“腰抜け”を最も嫌っている。パワハラ、モラハラの嵐である。
その上、忖度などせずに口が悪いから(スピーチでも不敬表現を多用する)、上からも“厄介者”扱いされて、ついに前線の指揮を外されてしまう。トランプに似てるかも。
終戦になり、ソ連の将軍とパーティで乾杯することになって、パットンは「ソ連のクソッタレ共とは誰とも酒なんか呑まん」と言い放ち、ソ連の将軍が「貴方こそゲス野郎だ」と返すと、「ハハハ、よし、ゲス野郎同士呑もうじゃないか」と腕を組んで乾杯する…。共産主義のソ連とはいずれ戦争になると睨んでたのか。
映画は、北アフリカ戦線での第2軍団司令官への着任で始まり、シチリア島侵攻では第7軍司令官、現場で戦争後遺症の兵士を「腰抜けめ!ここから出て行け!」と鉄拳制裁をしたことで解任されて、イギリスに戻って、ノルマンディー上陸作戦で第3軍司令官として復帰、その後、数々の戦いで功績を残して、さらに第15師団に異動になるまでを描いている。ロンメルの独軍との戦いは見もの。
パットンのように戦いにロマンチズムを求める人物は、近代になってもよくいるものだ。映画にも描かれてきた。日本だったら、特攻に正義と悲劇を求めるようなものだ。軍人精神に意義を感じる傾向は世界中、どこも一緒だね。
パットンの部下に対する厳しいパワハラ、モラハラのような態度も、当時の日本軍の一兵士に対するシゴキやイジメ、精神一辺倒主義に比べると生優しく感じるけど。
パットンの言葉「職業軍人には理想的な死に方がある。最後の戦場で最後の弾を受けて死ぬことだ。栄光はいつか消え去る」。