「銭ゲバ 上・下巻」
ということで、メルカリで格安ゲット、故・ジョージ秋山先生の、70年代に発表された傑作「銭ゲバ」。懐かしくて面白くて一気に読んだ。前にTVドラマになってたのね。
主人公の蒲郡風太郎(ガマゴオリフウタロウ)は、ド貧乏の家に醜く生まれたために、少年時代には、いつも蔑まれて虐められ、父親は愛人を作って遁走、病弱だった母親は医者にも見捨てられて死んでしまう。
独りになった風太郎は、「金があったらこうはならなかった、世の中は銭が全て」と悟り、「銭のために生きる、銭のためなら何でもする」と決心する。
金を盗んだところを、優しくしてくれた近所のお兄さんに見つかり仕方なく殺害したことから始まり、雇ってくれた蕎麦屋で大金を盗み、ある大企業の社長の家に囲われて、そこのカワイイお嬢さんと愛犬、運転手を殺して、ついには社長を殺して、自分が社長の座に。
怪しいと警察と新聞記者が追ってくるが、銭の力で押さえ込んで殺害する。風太郎の会社は、地元に公害を垂れ流して銭儲けをする悪徳企業だが、風太郎は、慈善事業などをして抑え込み、銭の力を使って政界に進出する。
銭、女、権力、欲しいものを全て手にした風太郎だが、「いつも私だけが正しかった。この世にもし真実があったとしたら、それは私だ。私が死ぬのは悪しき者どもから私の心を守るためだ。私の勝ちだ。私は人生に勝った」と遺書を残して拳銃で頭を撃つ…。
確かに“スーパー資本主義”のこの世の中に金で買えないものはない。ただ、自分の意志で売らない、買わないことができるだけだ。
当時の世相などを取り入れて、忖度することなく銭を巡る人間の欲や情をズバリと描いており気持ちがイイ。
やっぱり幼少期の思いが人間の一生を決めるのか…。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。