「裸のランチ」
奇才デヴィッド・クローネンバーグ監督の「裸のランチ」(Naked Lunch)を再度鑑賞。
何度観ても、やっぱりわかんない(^_^;)。もともとウイリアム・S・バロウズの原作が読み通すのが苦痛なくらいわけわかんないからね。
でも、バロウズといえば、初期「フールズメイト」を愛読するようなスノッブでトッポイ連中が、わけわかんなくても無条件で興味を持つ米の著名なアンダーグラウンド作家だけに、その原作の映画化となれば、どうしても一回は観とかなきゃと思うよねー(笑)。
一応、ストーリーらしきものは、害虫駆除員である作家志望の男が麻薬に溺れる中で、様々な幻覚に襲われるとともに、素晴らしい想像力を得て経験した不思議な冒険の旅が語られる…ってとこかなぁ。
タイプライターとゴキブリの合体マシーンやわけのわからない気持ち悪い生き物などは、さすがクローネンバーグ監督だけど、全部麻薬による幻覚の為せる技なんだな。
カットアップ手法の文学と様々な麻薬、ウィリアムテルごっこで奥さんを殺しちゃうところ(バロウズの実話)、指を詰めるくらい真剣な同性愛など、アウトローで変態のバロウズの要素が満載なんだが、彼のことを知らなきゃ面白くないかも。
オマケ映像で、スーツでビシッと決めたバロウズおじいちゃんのインタビューが収録されてて、わっ、動くバロウズだ!(もう故人)と興味深かったね。記者の前で麻薬の素晴らしさを滔々と語る彼はチョーカッコイイ!彼はヘロイン、コカイン等の麻薬を科学的に検証して、自らに試し、それによって得られる幻聴、幻視、幻覚を表現化して作品としたのだ。
原作の忠実な映像化というよりも、クローネンバーグ監督なりのバロウズ解釈らしい。バロウズの著作は有名なものは読んでると思うが、全部、前衛的に思えて腹が立つほど難しい。ストーリーというより、感覚的に頭に浮かんだセンテンスを並べた感じで、話の展開があっちゃこっちゃヘーキで飛んだりする。これがまさにカットアップ手法(勝手にあちこちに文章を持って来てストーリーを作る)かもしれないが、読み解くより「感じる」文学だと思う。同様、この映画も観るよりも、「感じる」ものだ。
「訓練により言葉を覚えた肛門が自ら意思を持つようになる」なんてマジわけわかんないでしょ?「裸のランチ」なんてタイトルからしてそうだ。
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