【洋画】「イングロリアス・バスターズ」
クエンティン・タランティーノ監督(脚本も)らしい痛快な戦争映画「イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)」(米、2009年)。
第二次世界大戦中のナチスドイツ占領下のフランスが舞台。話は5章に分けて進む。
SSに家族を皆殺しにされた映画館を経営する女性エマニュエルと、ナチを虐殺して頭の皮を剥ぐ秘密部隊を率いる米軍のレイン中尉の2人のユダヤ系ナチ・バスターズが中心。
エマニュエルに想いを寄せるドイツ兵フレデリックの戦場での活躍を描くプロパガンダ映画を、ナチの指導者を集めてエマニュエルの映画館で上映することになり、レイン中尉らは映画館に潜り込んで爆弾で、エマニュエルは燃えやすい古いフィルムに火を付けて炎で、ナチ指導者を皆殺しにするという、メッチャ痛快で面白いストーリー。タランティーノはユダヤ系なのかしら。
冷酷なユダヤ・ハンターと言われるSSのランダ大佐は、目星を付けた人間(ユダヤ人)に近寄って、ウィットを混ぜながら話して、徐々に追い詰めて行く手法は、陰湿で陰険でヘビの如きしつこさで、まさにSSで怖い。
一方、ブラピ演じるレイン中尉は、ナチスの兵士を片っ端から殺して、アパッチの如く頭の皮を剥いで勝利の証とする。
こういうキャラを登場させて、圧倒的な残虐な暴力を表現するのは、タランティーノ監督のお得意とするところ。
そこに、エマニュエルとドイツ人人気女優のブリジット(実は英国のスパイ)という美しい女性を絡ませて、2人とも可哀想な悲劇の死を遂げる。
映画館には、ゲッペルス、ゲーリング、ボルマンなどの高官と共に、ヒトラー総統も現れる。ヒトラーなんかナチ・バスターズに、顔が蜂の巣になるまでめちゃくちゃに撃たれている。他の高官も、大炎上する映画館に閉じ込められて焼かれて、マシンガン滅多撃ちの餌食。
もちろん史実無視のフィクションだけど、プロパガンダ映画が止まり、エマニュエルの顔のアップが出て、「苦しんで死んでいったユダヤ人の呪いよ!」とかなんとか…。もう、ザマァ、ナチめ!って感じで、タランティーノらしい痛快なナチ・バスターズものだね。
ラストの、自己保身を図るランダ大佐を押さえつけて、額にナイフで鉤十字を刻むところも痛快だ。
映画館でナチ高官を皆殺しにするって、タランティーノ監督の“遊び”の中に映画愛が充分感じられたね。「映画秘宝」に絶対取り上げられただろうな。










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