【映画】「ミスト」
2007年の米SFホラー「ミスト(The Mist)」(フランク・ダラボン監督)。スティーヴン・キングの小説が原作。
米軍の異次元観察実験で、ある田舎町が深い霧に包まれる。霧の中に異次元の怪物が現れて人々を襲う…というのは、わかりやすい設定だけど、スーパーマーケットに閉じ込められた人々が、恐怖や不安から徐々に理性や秩序を失っていき、結果、もう怪物からは逃げられないとの判断がトンデモなく間違ってて、悲惨な結果になってしまったというデプレスな展開でかなり衝撃的だった。
原作とは違ってるけど、キングが、こっちの結末の方がいい!と絶賛したというし。
やっぱり、訳の分からない怪獣、モンスターなどよりも、狂気に陥ってしまった人間こそが、人間にとっては一番怖くて恐ろしいという好見本だ。
スーパーマーケットは、多数の客で賑わっていたが、店外でパトカーや救急車、軍用車が走り回り慌ただしくなる。その直後、鼻血を出した男が店内に逃げ込んで「霧の中に何かがいる!」と叫ぶ。店の周りは白い霧に包まれていく。店にいた狂信的カソリックの中年女性が「コレはハルマゲドンの始まりよ!」と叫ぶ。
何が起こったのか、怪物の正体は何か、何でこういう事態になったのか、まるでわからない人々は徐々に理性を失っていくのだ。
隣人のいうことを嘘だと罵り信じない、懐疑的になる、暴力的になる、不安を煽る、挙げ句の果てには、狂信者の女性を預言者だとして教祖のように崇めることに。
こうなったら、冷静に諭そうとしても、狂気の考えを強固にするだけで話を聞かない。そして、預言者と崇めた女性の言う通りに反対する者を殺そうとする。
理性を失い不安に駆られた人間に、理性で対抗しようとしても土台無理な話しだ。教祖になりつつあった女性を持ってた銃で撃って終わり。アメリカらしいとも言えるけど。
主人公は自分の子供を守るために理性を保ってた仲間らと最後まで戦うが、子供の「怪物に食われるようだったら殺して…」との懇願によって、銃に残ってた弾で子供と仲間たちを撃つ。そして主人公は、自分は怪物に食われるつもりで外に出るが、霧の中には武器を使って怪物を一掃して進む武装した軍の兵士がいた…。
判断を間違えて、子供と仲間の命を無駄に散らしてしまった主人公は号泣しながら絶叫している。
いや〜、凄まじいラストだった。こんな不快なラストは初めて観たね。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。