狂気
我といふ人の心はたゞひとり
われより外に知る人はなし
by 谷崎潤一郎
静寂を極めて、どうしても孤独を意識してしまう早朝、バウバウ、ギャンギャンといきなりの喧騒に、またか…とちょっと凹んで、すぐに腹立たしくなる。
ルセー!バカ犬め!シネ、コロスゾ!
長い間、鳴いてる訳ではなく、すぐに止むことが多いけど、俺の負の感情は、髪はないけど、怒髪天を衝く勢いとなってしまう。
時々、聞こえてるかどうかはわからないけど、大声でウルセー!と叫んでしまうことも。
まだクソ田舎だから許されているのかもしれず、もし都会だったら抗議が来て裁判沙汰になるやもしれないのに。
隣は、確かワン公が大きいのやら小さいのやら4匹くらいいたはずで、いつも、なぜ躾をしないのか、すでに鳴きグセがついてるよと思う。
前にチビ犬が俺のクルマにいきなり乗り込んで来た時、隣の奥方がそのチビ犬を抱きしめつつ、「どこから出たの?ねぇ?ダメでしょ」と人間の子供に話しかけるように囁いていた様子を見て、ちょっと狂気を感じた。
もしや、ウチのワンちゃんは、こんなにカワイイから、皆さんもカワイイと思うでしょ、と考えてるのかな?
旦那は仕事で帰って来ずに、奥方は数年前に娘を病気で亡くしているので、犬を愛でることで精神のバランスを保っているのかもしれない。
あるいは、カワイイ犬猫のためだったら人は死んでも良いみたいな狂気の動物愛護イデオロギーの持ち主だったりして。
でも、関係のない俺は、バカ犬どもの鳴き声を聞くと、殴ったり、蹴飛ばしたり、踏み付けたり、石を投げ付けたり、火を付けて燃やしたり、遠くにブン投げたり、吊るしたり、腹を裂いたり、なるべく残虐な方法でアイツらをぶっ殺しているところを想像している。
…やっぱり人間誰しも狂気を持ってるものだね。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。