日山日日

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  • 芋蔓式読書録

    これまでに読んだ書籍から、そのときどきに印象的だった箇所を抜き出して、自らの感想や体験、さらには別の書籍とを「芋蔓式」に結びつけて記録します。

最近の記事

「虎に翼」の視聴者たちは「弱さ」に共感する?

裁判官・弁護士の三淵嘉子さんの生涯に基づいた、NHKの連続テレビ小説「虎に翼」が、いよいよクライマックスに差し掛かっている。最初に白状しておくと、「虎に翼」でエッセイめいたものを書きたいと思っていたら、いつの間にか最終回まで数えるほどになってしまい、慌ててnoteにログインした次第である。 私がリアルタイムで、しかも毎日欠かすことなく朝ドラを見るのは久しぶりのこと。ときにはこぶしを握りしめたり、涙を滲ませたりしながら感情を揺さぶられ、そして勇気づけられている。周囲にも視聴者

    • 日本の若者を一言で表現できるか

      質的社会調査について学ぶ講義で、先生がおっしゃった。「現代の日本の若者や、若者の置かれた状況を端的に表す言葉はなんだと思いますか?」と。それから先生は、1980年代の若者が「新人類」と、1990年代の若者が「まったり」と表象されたことを例に挙げ、学生たちに意見を求めた。 ちなみに中国では、「内巻」「躺平」「潤学」といった言葉が、現代の若者やかれらを取り巻く社会情勢を表している。詳しくは、以下の記事の3章1節および5章2節を参照されたい。 若者とは誰を指すのか本記事における

      • 中国の学歴社会がもたらした若者の価値観—ある大学院生のライフストーリーに着目して

        1. 問題の所在1.1. インタビューの目的  現代の中国社会の特徴として「超学歴社会」が挙げられる。大学の進学先によってその後の人生が決定されるため、中国大学統一入学試験(通称「高考」)での競争は熾烈を極める。また大卒者の人口が増加した中国においては、たとえトップクラスの大学を卒業したとしても、修士や博士といったさらなる学位を積み上げなければ(あるいは積み上げたとしても)、中国国内での就職は困難であるとさえ言われる。2021年7月には、学校の宿題を減らし学校外教育を禁じた

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