2023年5月11日~22日 最近のこと

・近況
 体調は相変わらず。週に一回ボランティアで中高生に勉強を教えている。最近あまり本を買ってないなぁ。プライベートでのお出かけも最近はあまりしていない。
 文学フリマ福岡に出店の申し込みをする。自分を後戻りさせないように、締め切りをきちんと設定してやっていきたいと思う。これで抽選に落ちても、本は完成させる。足りない資料をちょっと買い足して、色々読んで……。

・海外ミステリパロディ
 『ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd season』の10話、図書館のシーンで海外ミステリのタイトルパロディが行われていたことを知る。
 これが全部わかったら、かなりの海外ミステリファンでは……。
 パッと調べただけでは、クレイトン・ロースン『帽子から飛び出した死』やらクリスチアナ・ブランド『自宅にて急逝』やらD・M・ディヴァイン『五番目のコード』やら出てこないよね……という。扱っているジャンルの範囲も広く、現代のものも目についたり。ミステリファンはニヤニヤできるはず。ウィリアム・「アイリッシュ」だから「カナディアン」はなるほど、と(ちなみにその作品のパロディ元は『幻の女』)。
 目につく範囲のパロディ作品の元ネタは大体わかったが、お好きな方がスタッフにおられたのでしょうね。
 ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』からレイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二訳だと思う。今は村上春樹訳『さよなら、愛しい人』の方が通りがいいかな?)の流れ、ミステリ史を知っているとなかなか興味深い。チャンドラーは、セイヤーズやクリスティーに代表されるミステリ黄金時代の作家たちを大っぴらに批判したわけだし。どちらも等価に読めてしまうのが現代で小説を読むことのいいところですね。まぁ、チャンドラーは同時代の作家をこきおろしがちなのですが……。
 どうでもいいけど、"Farewell, My Lovely"ってどちらかというと清水訳みたいな硬い訳じゃなくて、春樹訳くらいのくだけたニュアンスなのでは、と思わなくもない。

・最近読んだ小説
 山田風太郎『甲賀忍法帖』を再読する。山風が現代の日本のエンターテインメント業界に与えた影響は計り知れないな、と思わずにいられない(今更すぎるが)。

 ローレンス・ブロック『死者との誓い』を読む。「私立探偵小説の私小説化」は当時から言われていたことだが、この作品はその極致と言えるかもしれない。だが、そこがマット・スカダー・シリーズを読む醍醐味であり、この作品を90年代私立探偵小説の最高峰に押し上げている。文庫版の解説で詳しい論評が掲載されているので、ハードボイルド小説がお好きな方は、作品も解説も読んだ方がいいと思う。

 ジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』を再読する。多分六読目。

 ダシール・ハメット『ガラスの鍵』を読む。すごすぎる……。ハメットの追随者が現れにくいことがよくわかる作品だと思う。ひたすらに心情描写のない客観描写で読者に登場人物の心情をそこから類推させ、説明が最小限なので読者は次の展開が読めず、「次はどうなる?」と思わせる。しかも、自然な形で、読者がよく読めばきちんと心情を類推できるように書いている。
 読者に負担をかける描き方だが、それを越えて読む価値のある作品をハメットは書いている。どこかで読んだけれど、のど越しのいい読書ばかりもいいけれど、たまには歯ごたえのある読書もいいのでは? と思わされるというか。

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