言語とサイエンス・フィクション
今日はTCSワークショップ、「プログラミングは、ことば。」の初回ワークショップを行いました。
改めて「言語」を考えてみるといろいろなアイディアが浮かんできて楽しいのですが、その中でも改めて「言語」を中心にしたサイエンス・フィクションを4作品ご紹介したくなったのでご紹介します。
1.テッド・チャン著『あなたの人生の物語』
『あなたの人生の物語』
一時期「巨大ばかうけ」でtwitterなどネット界隈を騒がせた、映画「メッセージ」の原作です。
主人公は言語学者。宇宙人の船である「巨大ばかうけ」に入っていって宇宙人と対話を試みます。宇宙人はなんらかのメッセージを伝えようとして、主人公はなんとかそれを読み取ろうとするものの・・・
ウォーフ=サピア仮説(簡単に言うと、思考は言語によって作られるのではないか、という仮説)のとおりであるならば、宇宙人語を獲得した地球人の思考はどう変わるか、という話です。
小説と映画と両方を見ることをオススメします!
お薦めは、「映画を見てから小説を読む」この順番。映像でわからなかったことがだんだんと明るみになっていきます。
2.ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~
言語学者の弟子である主人公が、獣人族のコミュニティに入って彼らの言語を学んでいく物語。
食べ物やその他のヒントを緒に、獣人族のことばを調べていくプロセスが、巡検をしていく言語人類学者のよう。
獣人族のことばのしくみがだんだんわかっていきます。
3.伊藤計劃著『虐殺器官』
伊藤計劃のデビュー作、「虐殺器官」。
MITの言語学者だった「ジョン・ポール」が現れる地域ではかならず紛争による「虐殺」が巻き起こされている。
「ジョン・ポール」を追うアメリカ特殊部隊の主人公はその「虐殺」の秘密が「虐殺の文法」であることを知り・・・
言語が人々に与える影響、プロパガンダ、現代の情報拡散装置であるSNSの役割や、Face Newsなど、現代の社会を予見するような作品。
映画もあるのでぜひそちらもご覧ください。
4.上林長平著『言壺』
人々は食べ物や生活のための仕事をする必要がなくなり、ただ「文章を書く」ことだけが人々の楽しみであるという未来設定。
そのなかで、「ワーカム」という自動書記装置に訂正されてしまう「私の母は姉であった」という文章。
視覚から取り入れられる記号ではなく、嗅覚から取り入れられる記号。
複数の「言語」にまつわる短編が織り込まれた言壺のなかを覗いてみてください。
以上四冊でした。大変おすすめ、というか最も愛するSFの作品たちですが
もしご興味がありましたらお手にとってみてください。