耳を守る、Safe Listeningのススメ
電車に乗れば、バスに乗れば、朝仕事に向かうときの電車ですら、たくさんの「イヤホン / ヘッドホンをしている人」とすれ違います。
みなさんは、いつもどのくらいの音量で聞いていますか?
ガンガンにかけるのが好きな人もいれば、イヤホンやヘッドホンにこだわって音質を追求する人もいるかも知れません。
しかし、この「音量」実は注意が必要なんです。
いつでもどこでも動画で学べる現在
かつては、テレビ動画を観て学ぶ大学受験の予備校ぐらいしかなく、動画で学ぶことが珍しかったこともありましたが、今はもうインターネット上にある動画を視聴して学ぶことが一般的になってきました。
スタディサプリ、YouTube、Khan Academy、EdXやCourseraなど、乳幼児、幼稚園児から大学生、ひいては大人まで、多様な人々のためのそれぞれの学び方に合わせた学習コンテンツは、玉石混交ながら毎日のように投稿されています。
YouTubeでは、YouTube Creator Academyというオンライン学習コンテンツに、「教育チャンネルを始める」というコースができているくらい、教育向けの動画はたくさんあります。
個人的には、教育YouTuber葉一さんの動画が、丁寧かつ大変わかりやすいので大変おすすめです。(小学生にもよく勧めています。)
しかし、動画で学ぶとなれば、「周りの迷惑にならないように」、「集中するために」、など理由は様々かもしれませんが、
ヘッドホンやイヤホンを使って聴きながら学ぶことが多いのではないでしょうか?
そして、こんなことを言われたこと、みなさんにも経験があるのではないでしょうか?
「そんなにイヤホンでずっと聞いていると耳が悪くなるよ」
実際のところ、これは本当のことなんでしょうか?
Safe Listeningの手引き
東京コミュニティスクールでも、イヤホンやヘッドホンをして学ぶことがあります。映像を編集する探究の授業があったり、それぞれのペースに合わせて動画で学ぶ時間もあります。
そうなったときに「子どももヘッドホンやイヤホンで聞いていて大丈夫か?ということが気になるところです。
実はすり減る私たちの聴覚細胞
世界保健機関(WHO)の調査によると、聴覚細胞は人によってその閾値は異なるものの、ある閾値を超えた音量の曝露量を超えてしまうと永続的に聞こえづらくなってしまうリスクが高まります。
つまり、私達の耳の中にある聴覚細胞は大きい音を長い時間聴き続けると、だんだんすり減ってダメージを受け、元のよく聞こえる状態に戻らなくなってしまう可能性があるということです。
WHOはガイドラインを決めています。
音の大きさ(デシベル)✕暴露時間✕頻度によって、難聴リスクが異なることを説明しています。
目安としては一週間に85dBで8時間程度以内に収めることが必要です。
ちなみに、子どもが耳元で思いっきり叫ぶと、だいたい90dBぐらい、道で大きいバスとすれ違ったときの音は70dBくらいの音が出ます。
イヤホンの音量をマックスにするとだいたい90dB〜100dBくらいまで音が出ます。
それぞれ大人か子どもかによって基準は決まっていますが、子どもや音に敏感な人は、特に注意が必要です。
子どもだけでなく、実は大人も注意が必要なのです。
日常でも注意が必要
安全とされている曝露量の目安がありますが、上にも書いたようにオートバイであれば95dBも、車の騒音でも85dBもの大きい音が出るため、
実は、日常にこそ注意が必要です。
Google Science Journalのアプリで音の大きさ(dB)を計測することが出来るので、一度道を歩いているときにどのくらいの音なのか、調べてみても面白いです。
私も、実際に家の近くの幹線道路を調べたら、バスや大型トラックが通り過ぎたときの音は70dB〜80dBも出ることを知り、驚きました。
重要なのは、意識して判断すること
東京や都会に住んでいるとこういった騒音から逃れるのは難しいでしょう。ただ、だからといってそうでない場所に引っ越すのも現実的ではありません。
でも、イヤホンや動画を見るときに聴く音の量は自らコントロールすることができます。音量制限付きのヘッドホンもいくつか市販されていて、突然の大音量を防ぐことができます。
ただ、自分がいつもどのくらいの音量で聞いていて、どのくらいの時間聞いていても大丈夫なのか、ということを上の表を参考にして考えるようにしていくことこそが、安全なリスニングを実現するための大切なことなのではないでしょうか。
一番の鍵は「自分がどのくらいの音量で聞いているかをふりかえる」ことです。
ちなみに、自分達のいつも聞いている音を確かめながら行くと、40dBくらいだと結構大きい音、20dB〜30dBくらいがイヤホンで聞くのにちょうどよい音の大きさでした。それぞれ目安を持って、大きい音になれてしまう前に、小さい音でも十分聞こえるように自分で調整していけるといいですね。
子どものみならず、たくさんの大人も、「貴重な聴力」を失わないように気をつけていきたいものですね!