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負けヒロインに花束を!幕間・負けヒロイン列伝その2 『いちご100%』東城綾
みなさん、こんにちは!
『負けヒロインに花束を』の語り手・立花宗重の叔母、西わかばです!
さて、第1章のストーリーをお読みいただいたことで、「負けヒロイン」の魅力に気づいてもらった読者も多いんじゃないでしょうか?
今回も、番外編として本編中に宗重が代表的な「負けヒロイン」として言及している架空の作品のモデルとなった作品やキャラクターを紹介させてもらいます。
2回目に取り上げるのは、前回の予告のとおり、宗重のラブコメ観に大きなトラウマを与えた『りんご100%』の東郷亜矢のモデルである、このキャラクター!
作品名『いちご100%』
負けヒロイン:東城綾
第1巻から登場するメインヒロインの一人。担当声優は、能登麻美子さん。
主人公の真中が第1話で出会ったいちごパンツの美少女の正体。
ただし、中学時代は眼鏡に額を出したおさげ髪で冴えない容姿だったため、主人公に気づかれなかった。
当初は前髪を七三分けにした三つ編みに、黒縁眼鏡をかけた野暮ったい外見をしていた。しかし、真中と西野にアドバイスされたことで前髪を下ろし、さらに高校入学時にはコンタクトレンズを付けて髪を解いている。それ以降、基本的にコンタクトレンズと髪を下ろしたスタイルで定着している。
三つ編み黒縁眼鏡の時は見た目が非常に地味で、男子生徒からは見向きもされず、真中も同じクラスにもかかわらず東城の存在を知らなかった。しかし、眼鏡を外して髪を解くと誰もが振り向くような美貌である。元来のスタイルも良く、温厚で成績優秀であるがため、校内で人気を集める。
眼鏡なしVer.と眼鏡あり三つ編みVer.では、あまり同一人物だと気付かれないことが多い。
小説を書き始めた元々の動機は、受験や孤独からの現実逃避であり、自分の世界に閉じこもりがちだった。自分を真中に肯定してもらえたことがきっかけで、真中に恋をする。
ヒロインの中で最も有力なポジションにありながら、元来の内向的な性格に加え、真中との間に生じた度重なる誤解やすれ違いが災いし、自身の想いをなかなか告白できずにいた。高校最後の文化祭終了後、一念発起して真中に想いを告白するものの、その時すでに真中は西野と復縁していたため、結局実ることはなかった。
以上が、悲劇のメインヒロイン・東城綾ちゃんの概要なんだけど……。
ここで、振り返ってみると、彼女の性格は、宗重が分析する負けヒロインの要素、
・恋愛感情に素直になれないキャラ
・幼なじみのように関係性の変化に乏しいキャラ
・オカンや姉のように上から目線で口うるさいキャラ
・暴力&暴言キャラ
には、あまり当てはまっていない気がする。
1つ目と2つ目の項目は、部分的に当てはまるかも知れないけど、決定的な敗北の要因とまでは言い切れないし……。3つ目と4つ目の項目は、北大路さんというキャラクターが引き受けてくれていたのにね(笑)。
あくまで、個人的な見解だけど、
『メガネでお下げの少し地味な文学少女が、メガネを取ったら美少女に変身!』
という昭和の時代から続く、ティーンズ小説や少女マンガの王道と言っても過言ではないキャラクター設定の東城綾ちゃんが、主人公との交際に至らなかったのは、ひとえに、ライバルの西野つかさちゃんが魅力的すぎたことに尽きると思う。
宗重をはじめ、多くの男性読者が、つかさちゃんの魅力にハマりこんだように、主人公の真中くんも、彼女の魅力には抗えなかった。
学園のアイドル的存在で、誰もが振り返るような美少女で、なおかつ、冴えない主人公に対して一途な西野つかさちゃんが、(当初は)主人公と結ばれる予定だったという東城綾ちゃんを凌駕する読者人気を得たことは、ラブコメにおいて人気を集めるキャラクターに、新しい時代が来たことを証明しているのかも……。
それでも、東城綾ちゃんは、作者の河下水希先生が、「恋愛の不条理な側面を知っていくことによって、綾が作品の中で一番成長することが出来たのではないか」と言っているように、負けヒロインとして、多くのモノを得たと言えるかも知れない。
『いちご100%』の本編中では描かれなかったけど、本編の連載終了から12年後に『ジャンプGIGA2017』に掲載された『いちご100% EAST SIDE STORY』では、彼女が秘めていた想いと新たな出会いが描かれているから、興味があるヒトは呼んでみてね。
さて、00年代という20年も前の作品紹介が続いたので、次回の幕間では、比較的、最近の作品を取り上げる予定です。
(ライター・WEBサイト編集者・西わかば)