日記・2週間でゲームを作った
途中まで制作していた大作ゲームは置いておいて、短編ゲームを作ってみようと思い立ち、開発を始めた。それが9月20日だった。最初のバージョンが完成したのが10月3日。バグとゲームバランスの修正を除くと、およそニ週間でゲームが完成したことになる。
前作のゲーム『BAD DAY DREAM』は中断した期間があったものの開発に2年以上かかっている。WEB漫画を書いていた頃は一本描くのに3週間かかっていたので、それよりも速いことになる。
まず、作りやすさを重視してノベルゲームをベースにすることにした。Godot EngineむけのDialogue Managerというプラグインを採用してストーリーの進行をテキストに任せた。
Dialogue Managerはヴィジュアル面について処理をしないのでStateChartというステートマシンのプラグインを使って見た目の進行を管理した。Dialogue Managerのシナリオファイルからステートマシンにイベントを送って状態を進め、アニメーションや効果音の演出を加えた。
普通のヴィジュアルノベルであれば、わざわざGodot Engineを採用する意味は無いと言える。専用のツールを使ったほうがもっと早く優れた演出を利用できるはずだ。今回やりたかったのはヴィジュアルノベルにシューティングゲームを組み込むことだった。
クライマックスの銃撃戦のシーンからレールシューターが始まり、ボス戦へと続くシナリオになっている。ここでもStateChartは大いに活躍してコードをシンプルに保つことができた。
AIでヴィジュアルが加速する
AIの利用には賛否あるだろうが、このプロジェクトではAIを積極的に活用している。重要な背景はラフな構図を元に生成し、主要キャラクターの立ち絵は線画を自分で描いて、塗りをAIに任せるという形を取った。AIプラグインを入れたKritaとPhotoshopを使用し、KritaはControlNetが必要な場面で、Photoshopは背景の生成と画像の修正に役立った。
開発のスピード感が心地よく、また同様の短編ゲームを作っても良いと思った。数年かけてゲームを作ることには様々なリスクが伴う。モチベーションを維持できなければ開発を断念することになるし、技術の進歩で内容が陳腐化してしまうかもしれない。時流の変化が激しい近年、短期開発がインディーゲームの生き残り戦略かもしれないと思った。
AIと向きあう
正直、僕程度の絵描きであるとAIのほうが絵が上手いという現実がある。多分ほとんどの人がそうで、大いにやる気をそがれる悲しい事実であるが、AIには良い面もあって、こんな短編ゲームでも昔なら数ヶ月かけて作っていたものが、気軽に形にできるようになっている。今回ゲームにしたのは「筋肉の国」という自作の小説だが、昔だったら「ゲームにする価値なし」の判断で終わっていたはずのものだ。AIの普及でこういうトンチキな作品がこれからはどんどん増えていくのではないだろうか。
覆水盆に返らず。諸行無常。エントロピー増大の法則。AIが発明された以上、状況は過去には戻らない。AIの良い面を見つめて、うまく付き合っていきたいと思う。