プリンス:ニュー・パワー・ジェネレーションの誕生 その2

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プリンス:ニュー・パワー・ジェネレーションの誕生 その2

4.シーラ・E、幻の4thアルバム

 シーラ・Eは87年サイン・オブ・ザ・タイムズ・ツアーから89年2月のラブセクシー・ツアーまで、大変評価の高いプリンスのバック・バンドのドラマーであり、その上音楽監督も務めていた。実はタイトルは決まっていなかったが、彼女の4枚目のアルバムをプリンスは完成させていた。製作期間は87年から88年末まで、89年にリリースする計画だった。収録曲は以下の通り。

A面
3 Nigs Watchin’ A Kung Fu Movie
It’s A Hard Life(プリンス無関係)
Chicken Legs(プリンス無関係)
Knucklehead
Latino Barbie Doll

B面
Soul Company
Day After Day(プリンス無関係)
Girl Power
The Ghetto
Scarlet Pussy

 プリンスが絡んでいない曲が3曲[シーラの91年の実質の4枚目のアルバム『Sex Cymbal』にも未収録]あるが、これはセルフ・タイトルの3枚目の時からプリンス以外の作曲、プロデューサーを使っていたので過去のパターンを踏襲している形である[例えばブラック・シングル・チャートの3位のヒット「Hold Me」はシーラがエディー・Mらと共作し、プロデュースはシーラとデヴィッド・Zであった]。
 
 「3 Nigs Watchin’ A Kung Fu Movie」は87年1月から2月にガルピン通りの自宅にあったスタジオでプリンスとシーラで作ったインストだ。86年12月に作られた『The Black Album』収録の「2 Nigs United 4 West Compton」に連なるものだとタイトル、時期で推測出来る。曲の音源はリークしていないが、それらしき演奏が、マイルス・デイヴィスが客演したその年の大晦日のライブ、そのための87年12月のリハーサル内で聴くことが出来る。「3 Nigs Watchin' A Kung Fu Movie」だ、とプリンスが叫ぶ部分があるため、その前後での演奏フレーズはその曲にまつわるものだと思われる。また正確な日付は不明だが87年の「Shockadelica」のリハーサル、その8分10秒辺りでプリンスが、❝この曲は「3 Nigs Watchin’ A Kung Fu Movie」って名付けた❞と呟くのが確認出来る。

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