
ペイズリー・パークにて。
大変なことが起きた。僕がペイズリー・パークにいつものように出社すると、皆がざわついていた。「どうしたの?」、「ボスがハセトモの膨大なブートコレクションを見つけてしまったんだ。今ゴミ捨て場に運んでいる所さ」。
茫然とした。僕が昔西新宿で買った劣悪画質のごっつい大きさのブート・ヴィデオを一つ一つ袋に入れて、プリンス御大自らがそれらを運んでいる。僕と目が合った。彼はしっかりその袋を床に置き、親指を首の辺りまで持ってきて横に切る仕草を僕に見せた。
ペイズリー・パークには一度も行ったことがないのに、ヴォルトの場所はわかっていた。今日で最後なのだからと行ってみると、ドリルで穴を開けられてたはずなのに補修されていて、Keep Outのテープが貼られていた。
「最後にアクセル・ローズがここに来たのはいつだったっけ」。振り向くとプリンスが立っていた。「17年7月31日のビリー・ジョエルの公演にアクセルがゲスト出演して、その後ここに一人でハーレーダビッドソンに乗って現れました。もちろん入場をお断りしました」。「日付まで覚えているんだね、流石だよハセトモ」。
プリンスは玄関まで見送ってくれた。「これからは時々は僕のことを忘れるように」。そう彼が言ってドアを開けてくれた。
2025年1月1日AM5:45