「菜の花」の栄養と調理のポイント
春の野菜といえば、真っ先に思い浮かぶのは「菜の花」です。病院で献立を立てていた時に、「菜の花のおひたし」をよく採り入れていたこともあり、個人的にも好きな副菜の一品です。
今回は「菜の花」について、栄養と調理のポイントを解説したいと思います。
1 菜の花とは
菜の花は「なばな」や「花菜」とも呼ばれ、アブラナの花芽です。食用の「菜の花」として店頭に並んでいるもののには、実は様々なアブラナの品種があります。ブロッコリーやカリフラワー、キャベツや白菜なども同じアブラナの仲間です。
菜の花の開花時期は2月から5月頃ですが、栄養価が最も高く、美味しく食べられる時期である「旬」は2月頃から3月です。道端やスーパーで菜の花を見かけると、春が来たと感じられますね。
主な生産地で最も多いのは千葉県で、温暖な南房総地域で収穫されています。次いで、徳島県、香川県、高知県などの四国で多く作られています。
2 菜の花の栄養
続いて、菜の花に含まれる主な栄養素・成分について解説します。
1)イソチオシアネート
アブラナ科の葉野菜特有の辛味は、イソチオシアネートという成分によるもので、大根の辛味と同じです。抗酸化作用があり、免疫力を高めることが期待されています。
2)β-カロテン(ビタミンA)
菜の花に豊富に含まれるβ-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは目の機能、皮膚や粘膜の健康を保つために必要なビタミンで、免疫力を高める効果もあります。
3)ビタミンC
コラーゲンの生成に必須で、抗酸化作用のあるビタミンCが豊富に含まれています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、ビタミンCの推奨量を1日あたり100mg (成人・小児)としていますが、菜の花(和種なばな 花蕾・茎)は可食部100gあたり130mg含まれています。
4)葉酸
水溶性ビタミンで、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けます。特に胎児にとって重要な栄養素であり、妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らします。
ほかにも、鉄、カルシウム、カリウムなどが含まれており、菜の花は栄養価の高い野菜といえます。
3 選び方と保存方法
・つぼみが開いていないもの
花が咲いた状態の菜の花は、口当たりが悪く、苦味が強いことがあります。
・葉や茎の緑が鮮やかで、切り口がみずみずしいもの
菜の花は茎が切られた状態で売っているため、切り口がしなびていないものを選びましょう。
乾燥を防ぐため、湿らせたキッチンペーパーで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存することで、鮮度を保つことができます。
4 調理法のポイント
1️⃣ビタミンCを摂るためには、電子レンジ調理がおすすめ
菜の花に豊富に含まれているビタミンCは、水に溶ける栄養素で、茹でるとビタミンCが溶け出てしまいます。茹でた後に水にさらすとビタミンCの含有量が少なくなってしまうので、短時間でさっと茹でるか、電子レンジ調理がおすすめです。
2️⃣油を使って調理する
菜の花に含まれるβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンEは油に溶けやすく、水に溶けにくい性質を持っている栄養素です。油と一緒に摂取することで体内への吸収率を高めることができます。炒め物やパスタなど、油を使って調理して食べることがおすすめです。
3️⃣カルシウムが豊富な食材と一緒に食べる
菜の花に豊富に含まれるビタミンCは、カルシウムの吸収を助けます。カルシウムが豊富な乳製品や小魚などと一緒に食べることで、骨粗しょう症予防の効果が期待できます。
まとめ
菜の花のように、季節を感じられる「旬」の野菜は、市場に流通する量が増えて入手しやすくなり、さらに1年の中でもっとも栄養価が高い状態で摂取することができるといったメリットがあります。
菜の花のおひたし、パスタ、炒め物、味噌汁など、いつもの葉野菜を菜の花に替えて召し上がっていただき、食卓に春を感じてもらえたらと思います。
参考文献・資料
・日本人の食事摂取基準(2020年度版)ビタミンC
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
・旬の食材百科 食用菜の花/なばな/花菜
・菜の花の選び方と、おいしく食べるための保存方法とは
・「菜の花」の栄養|春の訪れを告げる食材で美肌効果も
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