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なぜ僕が、ふくしま駅伝に魅せられているのか。⑥

「本間が優勝を決めたんだろ?すごいじゃないか。おめでとう。」
地区大会を制し、県大会は3位。関東大会まで行くことができた。校内で表彰され、席に向かう途中、バスケ部の顧問にそう言われた。ロン毛の三井寿の如く膝から崩れ落ちはしなかったけど、号泣した。周りを憚らずに泣いた。ただ、俺が優勝を決めたわけじゃないんだけど。

秀才の土井川くんの横で走っていても、走力はついても学力は身に付かず、小さい頃から絵を描くことが好きだった僕は美術科のある高校に行こうと考えていた。

「那須拓陽で走ってみたらどうだ?」
3年生になる時に高久先生は教育委員会に異動になり、新しい顧問の先生にある日そう言われた。もうやり切っていたし、陸上を続けるつもりはないけど高校に入れるならいいか、つらかったら辞めればいいや。そんな子供染みた考えで高校を決めた。

高校生活初日、昇降口に張り出された名簿には中学時代のバスケ部のメンバーが揃っていた。最後の1年間はそのメンバーから距離を置いてうまくやっていたのだが、また3年間同じ環境で過ごすのかと思うと吐き気がした。
またうまく過ごしていこう、走ることに集中しよう、そう思いながら不安を吹き飛ばすかのように、入学式での点呼は大声で返事をした。

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