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なぜ僕が、ふくしま駅伝に魅せられているのか。⑧

「ーーー選手発表は以上です。これに関して意見や質問がある人はこのあと私のところに来て下さい。」
今となっては薄井監督の決まり文句のような選手発表後の言葉。エビデンスや論拠を問われる昨今だが、この時から選手選考に関して誰よりも考え、誰よりもシュミレーションをし、誰よりもロジカルに説明する。初めて聞いた時はなかなか痺れた。
西郷村の練習会に初めて参加してから4ヶ月後。ふくしま駅伝の選手選考も兼ねたロードレースゴール後に行われた選手発表で、僕は補欠になった。争ったのは大学を卒業したばかりの園川くんだった。以降、彼とは僕の第二の競技生活になくてはならない存在になる盟友なのだが、この時は言葉にならないくらい悔しかった。「俺だって本気出せば、ふくしま駅伝くらい走れるわ。」と吐き捨てた唾はそのまま顔にかかった。結果がすべて。だいたいのことは思い通りにいった競技人生の中で、数少ない挫折だった。この時の悔しさが今も走り続ける原動力の一つになっているのだが、この第二の競技生活の中では思い通りになることの方が少ない。今となってはそこが面白いのだが、当時はそんなこと全く考えられなかった。
「もう1kmは3分で走れないんだな、俺は。」

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