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読書ログ:榎田ユウリさんシリーズ2作

 Twitter/現Xに書き貯めていた読書ログです。
 コチラは、榎田ユウリさんのシリーズ2作について。

▼ 「妖奇庵夜話」シリーズ

 なにか面白そうなシリーズはないか、と書店の棚を眺めていて出会った作品。最初の興味はもちろん妖怪です。でも、いわゆる「妖怪と共存しよう」ではなくて、それよりもっと踏み込んだ「妖人」という存在を描いた「人間ドラマ」でした。
 後半は、〈鬼〉である青目の存在が影を落とし、さらには〈鵺〉が出てきて日常を壊してしまうので、正直なところ終始しんどかったです。いや青目は最初から絡んできてはいたけれども、その執着心が強まるほどに重たくなっていって。癒しだと思っている先生と脇坂くんの会話も、後半どんどん減ってしまったし!
 キャラクターとしては、誰よりトウが幸せになってほしいと思っています。マメという表の人格を守り続けていた、裏の彼。やり方はどうであれ、その行動はいじましいと思ってしまう。

▽『妖奇庵夜話  その探偵、人にあらず』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321208000033/

『妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず』読みました。
毒舌な先生が情に厚くて、愛されていて、抗っていて、すごくいい。
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『妖奇庵夜話  その探偵、人にあらず』読み返しました。
妖人という「絵空事」の背景にある、今回は女と女のどろどろとした感情が、ああ、なんて重苦しい。先生の毒舌は一種、清涼剤のようでもあるね。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず』 読みました。
妖人と人間の関係が中心と思わせて、実のところは人間同士、あるいは個人同士の問題事件が起こる。その構図が、闇深くて苦しくて、でも先生は優しくて、好きです。
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じつは最終巻を読んでから読み直しに入ったので、冒頭が〈河童〉でウワーーー!!!となりました。ごめんね覚えてなかった!!!

▽『妖奇庵夜話 空蝉の少年』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321208000032/

『妖奇庵夜話 空蝉の少年』読みました。
テルくんいい子・・・・・・!でもあの母親はやっぱり解せない。子を甘やかし、子を放り出し。
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『妖奇庵夜話  空蝉の少年』読み返しました。
小説だからこその「すでに見えている真実」がすごい・・・・・・! テルがサクヤを妬み憎む気持ちは、判ってしまう。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 空蝉の少年』読みました。
小説だからこそ、男女や血縁の手掛かりが「目に見えない」こと、やられたなって思います笑。主題は〈件〉だったけれども、私はたくさん食べる〈二口女〉スミレさんが好きです。

▽『妖奇庵夜話 人魚を喰らう者』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321312000255/

『妖奇庵夜話 人魚を喰らう者』読みました。
ダメ刑事だった脇坂が活躍するようになるの嬉しい・・・・・・でも相変わらず女性の闇が抉ってくる。妖人であろうと妖怪であろうと、いつだって人魚に付きまとうのはカニバリズムと悲劇だ。
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『妖奇庵夜話  人魚を喰らう者』読み返しました。
人魚の逸話はなぜ、醜悪なカニバリズムから、美しき不老不死を生み出すのだろう。不老不死は、その孤独を許容できるなら、あまりに甘美な誘惑。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 空蝉の少年』読みました。
小説だからこそ、男女や血縁の手掛かりが「目に見えない」こと、やられたなって思います笑。主題は〈件〉だったけれども、私はたくさん食べる〈二口女〉スミレさんが好きです。

▽『妖奇庵夜話 魔女の鳥籠』

『妖奇庵夜話 魔女の鳥籠』読みました。
今回は「誰が」ではなく「何故」が中心で、妖人属性すら利用されるばかり。母と娘の在り方は、なかなかに、重い。
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『妖奇庵夜話  魔女の鳥籠』読み返しました。
妖人であることが、問題ではなく救いであったことは、うれしい。けれど、母娘の確執は、重い。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 魔女の鳥籠』読みました。
「親子の愛情」だけでは繋がっていられないし、「正しさ」だけでは生きていけないのだと思います。人間であろうが、妖人であろうが。

▽『妖奇庵夜話 グッドナイトベイビー』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321511000367/

『妖奇庵夜話 グッドナイトベイビー』読みました。
マメより、トウが幸せになってほしい。白い子への愛が、黒い子へも届きますように。捨てた母親が幸せになっていたのなら殺されても仕方ないと思ったのは本心だ。
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『妖奇庵夜話  グットナイトベイビー』読み返しました。
白いマメを守り続けた黒いトウが、愛おしい。もう、ほんの少しだけでも、先生の愛情を一心に受ける時間があればよかったのに。それでも溶け合って、やっと灰色の彼らになれることに、安堵する。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 グッドナイトベイビー』読みました。
先生がトウを「黒い子」と呼ぶのはモヤリとするけれど、きちんとマメと見分けて「おあがり、トウ」と言っていたことに、毎回救われる思いもある。

▽『妖奇庵夜話 花闇の来訪者』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321702000600/

『妖奇庵夜話 花闇の来訪者』読みました。
確かにひとは死んでいる。けれど先生の周りは穏やかに見えていて、見た目のままに穏やかであってくれればどれほど良かったか。未熟なマメ、脇坂くん、常盤は強く成長するけれど、すでに完成した先生や夷さんにある脆さ、それこそ桜のような儚さが恐ろしい。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 花闇の来訪者』読みました。
青目の書いたシナリオが、途中までは悪くなかったんじゃないか、と思えてしまうのが恐い。仇討ちは、成されてしまえ。

▽妖奇庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321810000184/

ようやく『妖奇庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』読みました。
洗脳、ということばが出てくる以上、一人称小説と同じで、それぞれの言動を疑いながら読んだし、予想通りな部分もあったけれど……それでも、この真相は重たい。癒しなのは脇坂くんとひろむさんの恋路だけですよ!!!笑
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』読みました。
〈鬼〉が出ずに〈鵺〉が出て、ここから一段と闇が深くなるのがしんどいです。脇坂くんとひろむさんの関係は本当に愛おしいのに、だからこそ、〈麒麟〉の死が哀しい。

▽『妖奇庵夜話 顔のない鵺』

https://www.kadokawa.co.jp/product/321910000660/

『妖奇庵夜話 顔のない鵺』読みました。
し······しんどいターンが来てるぅーーー!!! 鬼だけでもきついのに、鵺まで先生を苦しめにくる。脇坂くんたちと同じ「ただの人間」は、先生に突き放されてしまうと、どうしようもなくなってしまう。力になりたいのに。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 顔のない鵺』読みました。
加害者の「家族」が苦しむのは、とくに日本が家族という単位で考える社会だから、かのかもしれない。別個の人間で、罪を償えるのは本人だけ。そう頭で理解しても、心が納得するかは別物だ。

▽『妖奇庵夜話  ラスト・シーン』

https://www.kadokawa.co.jp/product/322103000575/

本編完結の『妖奇庵夜話  ラスト・シーン』読みました。
先生の毒舌と脇坂くんのお喋りが最後の最後にようやく聴けてよかったぁ;
〈鵺〉は最後まで正体不明で、それはつまり〈妖人〉だから罪を犯すと言えないことの証左であると思う。弱さ邪悪さは、どんな〈人〉にもあると。
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完結巻が出たので『妖奇庵夜話 ラスト・シーン』読みました。
最後の脇坂くんのカットイン(違)は格好良かったのだけれど、やっぱり〈鵺〉を排さずには終われなかったことは、ずしんと重たい。それでも、妖人と歩む社会が、ほんの少しずつでも良くなりますよう。

▽『妖奇庵夜話 千の波 万の波』

https://www.kadokawa.co.jp/product/322212000862/

『妖奇庵夜話 千の波 万の波』読みました。
先生の心身も、時代の流れも、脇坂くんの地位だって変わってしまうけれど。先生は変わらず、妖人であろうとなかろうと、しっかり生きていけと背中を押していて。その不器用さに涙が出ます。


▼ 「死神」シリーズ

 表紙と榎田さん作品ということで、並んで面陳されていた『ここで死神から残念なお知らせです。』と『死神もたまには間違えるものです。』をまとめて買って読みはじめました。なお仕事のストレスも大いに影響しています。働いているんだから本をいっぱい買っても許される!!!!!!
 導入の1巻、ミスリードの2巻、種明かしの3巻、と思っていたので、4巻が出たときは「何を書くというのか!!!???」と思いました。余見透の死神としての残酷さが好きです。

▽『ここで死神から残念なお知らせです。』

https://www.shinchosha.co.jp/book/180022/

衝動買いした『ここで死神から残念なお知らせです。』読みました。
肉体の死は客観的、精神の死は主観的・・・・・・というのか。死んだことに気付かない、なら、他者の目にすら生きているように見えるというのは新鮮。私たちは無邪気に明日を信じるけれど、いつ途切れたっておかしくない、わけで。
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新刊が出ていたので『ここで死神から残念なお知らせです。』読み返しました。
死神・余見透の性格を「人間よりも生死にドライ」くらいに覚えていたら、そんな生易しいものじゃなくてヒュッとなる笑 ラストエピソードがちょっと混乱するけれど、〈死〉だけは確かでやるせない。

▽『死神もたまには間違えるものです。』

https://www.shinchosha.co.jp/book/180074/

続いて『死神もたまには間違えるものです。』読みました。
間違えるってそういう・・・・・・!今度は死神の出番が少なくて、ずっとひと目線だからか、死神の異質さがより際立っていたような。死んでることには、変わりがなくても。
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新刊が出たので『死神もたまには間違えるものです。』 読み返しました。
時間切れ展開はしんどい。とはいえ「残り時間が判っている生き方」と「この先長く続く生き方」が違うのは当然で、余見の言い分は極論だよなとも思う。ゾンこと広と天堂さんの将棋エピソードはとても好き。

▽『ところで死神は何処から来たのでしょう?』

https://www.shinchosha.co.jp/book/180134/

『ところで死神は何処から来たのでしょう?』読みました。
今回もたいへん面白かったです······! 会話の秀逸さはもちろん、前作をも含めたミスリードからの伏線回収が気持ちいいったら! あああ余見さん引き続きがんばってぇぇぇ!!!
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新刊が出たので『ところで死神は何処から来たのでしょう?』 読み返しました。
全編ミステリっぽいところに戸惑ったけれど、因縁を知るとアーーーそういうことォーーー!?となるのでこれはこれであり。そしてこの巻でシリーズ終わった思ってたんですよね……笑

▽『死神と弟子とかなり残念な小説家。』

新刊『死神と弟子とかなり残念な小説家。』読みました。
今回もそういうことォォォ!?案件でホッとしたようなさみしいような。余見とナナの差は、どこにあったのだろうね。











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