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『GOD SONG』考察やっちゃいました

またもや考察系…しかもDiggy-MO'ソロ曲の中でもかなり難易度高めの『GOD SONG』とか本当に考察出来るんですか!?て感じだけどやり始めちゃったので仕方ないよね…やるっきゃない…!
まぁ今まで自分の中でぐるぐる考えてたヤツを整理するような感じでやっていけたらな、て感じっすねー。
読者の皆さんも身構えずに「こんな風に考えてる人もいるんだねー」くらいのお気持ちで読んでくらはい…



1.『GOD SONG』の立ち位置


まぁ、ここ読んでる人で知らない人はいないだろうとは思いますけど一応ね。こんな曲です。




こちらの曲、構想自体は『PTOLEMY』制作時にあって『PTOLEMY』に出てくる「マルの外側」、地球を俯瞰で見ることが出来る場所にいる存在→神の視点で書かれてるってのはClub Dの『帽子の中身』で話してた内容からも間違いないかな?と。

あとこれは結構指摘してる人多いけど『ウェカピポ』と対を成す曲でもあると思う。
黙示録の新世界(新天新地)創造までの混沌とした世界を救世主(イエス?)視点で描いたのが『ウェカピポ』、新世界の創造を神視点で描いたのが『GOD SONG』じゃないかな。


2.『神』という偉大なクリエイター


Diggyはよく聖書だとか神話だとかをモチーフとして使うけれど実際信心深いとかそういう感じでは無さそう。
これもClub Dの『帽子の中身』読むとDiggyは神様とか神話とか占いについて「人間の性質をよく理解して作られてて音楽や絵画と同じように歴史的に重要な文化の一部(引用できないのでざっくり説明ですいません!)」と捉えてるみたい。

この前NHKの100分de名著で『1000の顔を持つ英雄』という本を紹介してて、これは著者の神話学者キャンベルが各国の神話の中の冒険譚を収集・比較分析するうちに見つけた物語の共通パターンを書いてる本なんだけど、この本に書かれた法則性を参考に作られたのが『スター・ウォーズ』なんだって。
要するに遠い昔に時代を超えて世界中に通じる普遍的な物語を作り出した人がいたってことだよねー。人類にとってある種発明みたいなもんかもしれんね。
神話だからもちろん主役は神様なんだけどみんな自分の置かれた立場だとか親子の関係とか身近な人の死だとか人間と同じようなことで悩み苦しんでたりしてさ。Diggyはそういうのも人間味あふれるキャラクターに惹かれるとも言ってたね。

Diggyは神とか宗教に関して「信じる信じない」以前に「人間の作り出した物語」として好き、という感覚が強い人なのはまあ何となくわかるよね。
一方『神』という存在を全否定してる訳ではないところが面白いところで、例えばまたまた『帽子の中身』の話になっちゃいますが(ほんと色々話してるのでみんな課金して読んで!笑)『PTOLEMY』の曲解説で「森羅万象、宇宙の因果関係」は「コンプリート」しているって言ってて、その「宇宙の因果関係」を「マル」と解釈すると、それらを俯瞰する「マルの外側」からの目線、もっと踏み込むと「森羅万象、宇宙の因果関係」を完璧に構築してそれを眺めている視線、それをDiggyは「神」としているのかな?と思う訳。そしてその「神」のことをDiggyは「自分にはとても出来ない創造をやってのけたクリエイター」として尊敬しているんじゃないかな。
ということで『GOD SONG』というのは森羅万象を完璧に作り上げたクリエイター「神」視点の曲、て言っちゃってよさそうだよね。


3.「クリエイター」の苦悩


ということで、ここまで黙示録の新世界の創造を踏まえたクリエイター「神」視点の曲なんじゃないかということを書いたんだけど、それとは別に私は前から『GOD SONG』にちょっとプラトンのイデア論的なものを感じておりまして…
プラトンのイデア論てどんなもんなのかってざっくり説明すると、物には「イデア」というその物が持つ完璧な本来の姿(実体)というものがあって、その「イデア」のイメージを作り手が受け取り物として形作る(ミメーシスする)ことで初めて私達の世界で形をを得る訳だね。ただこの「イデア」ってのが簡単にミメーシス出来ないわけ。なんせ完璧なんで。それで「イデア」の再現度が高ければ高いほど人はそれを見て「美しい」って感じるんだよって感じ。(ほんとざっくりでスイマセン…)
余談だけどこれに対して「例えば椅子の「イデア」があったとしてそれが木製でも木が育たない地域では椅子はミメーシス出来ないの?金属だとか石だとか別のもので作るんじゃない?それは美しくないの?作り手の創意工夫があってこそ美しくなるんじゃないの?」と異を唱えたのがアリストテレスですよなー。ちなみにアリストテレスは次のnoteにも登場する予定なので覚えておくと良いかも!

…ちょっと話が逸れちゃいましたけど、今まで話してきたプラトンのイデア論的な表現が『GOD SONG』の中に出てくるんだよね。

天 裂ける そう 聞こえる yes,    yes,    i    can
君に聞こえない“that”and
見える i   can,  can 見えるよ全部 君に見えない “it”
そして“0”が“1”になる 見せてあげる

どう?
これ「ミメーシス」じゃない?
と私は思うんだけど…。
「イデア」自体は私達には見えない、あるいは見えたとしても形にする技術がない人が多いけれど、「イデア」を見ることができ、尚且つそれを形にする技術を持つ人がいて、そういう人の感覚を表しているのかな?と。

で、そのあとこんな歌詞も出てくる。

頭が痛いんだ my angel but, i"ll be hold
芸術は sick machine danger, danger ah-oh,

これはもうそのものズバリって感じだけど。
「イデア」を「ミメーシス」するとこは簡単にできるこっちゃないよね?
私もまぁこんな風に文章書いたり、たまーに絵を描いたりするけども、進めてく内に最初思い浮かんだ形とだいぶ違っちゃったな…みたいなことは結構あるし、そもそも技術的に難しくて諦めちゃったりもするし…
私くらいの者でも軽く葛藤のようなものがあるんだから、例えば「イデア」の解像度がめっちゃ高い人だったり、高い技術を持っている人はもっと大変だろうな、と…。
作りたいと思うものははっきりと見えているのにそれを形にする技術がその時代にはなかったり、形にしても周囲がそれを正しく評価する目を持っていなかったり…今では地動説が正しいことは周知の事実だけど、天動説が正しいとされていた時代には命がけで訴えても理解されなかった訳で…例え理解者が少なくても自分にはその正しさが見えている以上表現しなければならない、そういう表現者としての葛藤が『PTOLEMY』には描かれていると思うんだけど、そういう事を続けていけばそりゃ疲弊するし、病んでいきますわな…という。

そんな中でも理解してくれる人というのはいるもので、そういう人達に向けた言葉がこれ↓なんじゃないかな?

真実を司る者ならば 石には刻まず
そうさ 憶えておいてくれ people yea'p 再び

まぁ、これはクリエイター全体というよりDiggyの願望的なところが強そうだけど。
Diggyは自身の名声の為に音楽をやってる訳じゃなくて、自分の作り出した曲達が大勢の人達に長く愛されることを望んでいる(S.O時代に「サザンやミスチルみたいに」と言ってたのもそういうことかと)けど、じゃあ現状そうなっているかというとね…。
でもそういう評価って時代と共に変わってゆくものだし(天動説から地動説に定説が変わったように)、いつかDiggyの作った曲が大勢の人達の心に届く日までは記録に留めるのではなくあなたの記憶の中に留めてほしい…ということなんじゃないかな。


うーん、なんかちょい切ない感じになってきました…。


4.GOD=Diggyなのか?


ここまでの感じで『GOD SONG』は「この世界のあらゆるものを完璧な形で作り上げたクリエイターとしての神」と「Diggyのクリエイターとしての苦悩と希望」を重ね合わせた曲なんだろうと思う訳だけど、じゃあGOD=Diggyなのかというとそれはちょっと短絡的な気もするんだよねー。
で、またプラトンのイデア論に戻るんだけど、「イデア」は人工物だけにある訳ではないんだよね。この世のありとあらゆるものに存在してて、例えば草花や犬猫とか動植物にもある。で、私達はそのものの「イデア」を元にそれが花であるとか犬であるとかを判断してる、ということ。らしい…(間違ってたらスマン…)
てことはもちろん人間にも「イデア」があるということだよね。人間に似てるけれど人間よりも完璧な存在…て考えてくと…人間の「イデア」って「神」なんじゃないか?と…
このnoteの「『神』という偉大なクリエイター」のところでも書いたけど神話に出てくる神はとても人間くさい悩みや葛藤を持っていたりするんだよね。
容姿はもちろん、その行動や悩みや喜びとか感情に至るまで神に近いけれど決して神にはなれない存在、それが人間というものなのかも。
だとするとDiggyは音楽に関しては限りなく神に近い存在ではあるものの人間である以上決して神にはなれない存在でもあるということか…。森羅万象、宇宙の因果関係の完璧さを理解していて、その中での自分の役割を理解していて…だからこそ自分が人間であり神にはなれないということは誰よりも理解してんじゃないかなぁ。
Diggyにとってクリエイターとして自分との共通点を見つけて、そこに自分を重ね合わせてはいるけれど決して同じ領域には到達することができない、そんな存在が『神』なのかも。

 またまたClub Dの話になるけど、Cruの「Diggyさんは運命を変えていく方ですか、それとも受け入れていく方ですか?」て質問に「俄然、受け入れていきます」て回答しててさ、Diggyが表現者であること、創作した曲達、そういったものが全てコンプリートしている森羅万象、宇宙の因果関係の中の一部であるという自覚があっての発言なのかな?と。
決して悲観的ではないけれどある種「囚われの身」みたいなね。もうそこからは逃げ出すことはできないのだから腹を括ってやるしかないよね、みたいな。むしろ腹を括って運命を受け入れたからこそ自由に創作できるみたいな側面もあるのかもしんない。
なんか「運命を受け入れる」っていうと達観してるっていうか悟っちゃってる感じするけど、てか実際だいぶ悟ってる感じするけどさぁ…(笑)でもそれだけじゃないよね、という。
またまたまたまたClub Dの帽子の中身の話になるけども(笑)さっきの質問への回答について改めて言及された時に「受け入れるし、まあ戦う時もみたいな(笑)」て言ってて。
自分に課せられた運命を受け入れながらも、それでも抗いたいと思うことがDiggyにもあるんだなぁ、と。決して抗いきれるもんじゃなくても自分の中の信念に従って戦わなくちゃならない、そういう行動こそが「人間らしさ」だったりするんじゃないかな。

当たり前だけどDiggyは神ではなく人間だし、自分の中にある「人間らしさ」を結構好ましく思っているんじゃないかな?


5.『同志』とは誰なのか


『アポカリプス 見つかったかい 同志』から『nothin" stops it vivid i go』までは曲調も歌詞の内容もガラッと変わって、プラトンのイデア論的に言えば「イデア」を「ミメーシス」する時に訪れる狂気だとか、緩やかに殺されているような苦痛だとか、そこからなんとか理性を繋いでこの世に形あるものとして生み出す作業だとかのことを歌ってるんだと思うんだけど、ここで注目したいのは『同志』って言葉。
なんかここまでの感じだとDiggyは「選ばれた」表現者で孤独なのかと思いきや…ていうね。
『アポカリプス』ってまぁ「黙示録」の意だったりする訳だけど、ここでの意味はどちらかと言うと「天啓」に近いのかな?と。
で、興味深いのが自分にとっての『アポカリプス』を見つけた人のことを『同志』って言ってる訳ではないのだよね。まだ『アポカリプス』に出会っていない人にも『同志』と呼びかけてるわけ。
そう意識してみると、

there's a reason why 選ばれた申し子のように そうさ
you're the only one
疲れたら now 違うことを
中 潜在する意識がそう答えを探すから

てなんか『同志』を励ましているようにもアドバイスを送っているようにも思えてきた。
ウチらオタクはDiggyのことを音楽の神様に愛された『選ばれた申し子のように』思っているところあると思うんだけど、実は『アポカリプス』を見つける前はDiggyだって私達と変わらない何者でもない人間だった訳で、運良く『アポカリプス』を早く見つけることが出来た先輩としての言葉がギュギュッと詰まっているんじゃないかなぁ。そう考えるとDiggyは『ヨハネの黙示録』に出てくる新世界へと皆を導く救世主イエスのような存在なのかもしれん。
て考えると『同志』って「人類」のことなのかな?でもそんな感じしない?いやスケールでか過ぎん?でもそもそも曲タイトル『GOD SONG』だからね!全然ありえるね!

てかこんな風に一所懸命にDiggyの曲考察している私は既にDiggyにバリバリ導かれてるのかもしれんね…。ありがとうございます…。


6.コンプリートした世界の向こう


最初に『ウェカピポ』が救世主の視点、『GOD SONG』が神の視点て話したけど、なんというか…芯の部分では地続きというか…。まぁ同じ人が作ってんだから当たり前っちゃ当たり前だけどさ。
『ウェカピポ』から15年経って表現は洗練されたし人間的にも達観したところはあるんだけど、他者に対する眼差しというか…根底にある『爆走夢歌』のような素朴な熱さや優しさはずっと変わらないからかなぁと思った。
『ウェカピポ』で「真実はどこだ」と真実を探し求めていた若者が『PTOLEMY』では孤軍奮闘の中「マルの外側」から世界を観たいと望み、そうして『GOD SONG』で「マルの外側」に到達したDiggyが観たのは

結局どこにいても変わらない自分

だった、とかさ。なーんかだいぶエモい感じになっちゃいますがそんな感じじゃなかろうかと。

そう考えるとデビュー時から探し求めていたもののひとつの到達点が『GOD SONG』で、非常に完璧に美しく「コンプリート」されちゃってるって訳ですな。
だからまぁこっから先の展開は本当に想像がつかないよね。てかDiggy自身も想像出来てるのかな?とか思ってしまう。下手したらこのまま閉じてしまおうと思ってるんじゃないかと疑いたくなるよなぁ…。


ねぇ…マジで歌作ってます?????

Diggyの新曲をDiggyのお声でさぁ…聴きたいんですよこちとら頼みますよマジで!!!!!


あ、普通に愚痴になっちゃったけど(笑)
「コンプリート」した世界の向こうになにがあるか、どんな風に表現するのか、ホント楽しみにしてますんでよろしくお願いします。


サムネイル画像提供:竜さん


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