在りたいのではない、持たなければならない
「悪いな、俺のズボンがキムチ食っちまったみたいだ。」
「スモーカーおるやん」
俺のツッコミ役はカナダへ消えた。
M-1を来週に控え、ネタはできていない。
正直喉の手前まで何かでかかっているのは
わかるが、それが何かは掴めていない。
本気で一回戦通りたいと思っているからこそ
こんなにも頭を悩ませているのかもしれない。
この前ときが言っていたことが頭に残っている。
「文化祭のときのコントやる前までこいつらに何言われてもお笑いの道あるからええわと思ってたら、滑って思い知らされた。」
「そーやな」
って軽く返したけど心に突き刺さった。
俺も同じである。
顔も良くない、スタイルも良くない。
ただ自分に自信があった。
だってみんなよりおもろいから。
それだけで自分を保っていた。
俺はお母さんを初めて笑かした日から
捻くれた脳みそになってしまったのかも。
いつか見返せるだろう。お笑いで。
そんなことを思いながら高校の3年間は
何もしなかった。
同窓会も正直悔しさはあった。
身内ネタをしないと受けないとわかっていた。
自分の凄さよりウケの快感をとった。
このM-1で思い知らされることになるかも
しれない。
井の中の蛙であったことを。
とにかく笑かしたい。
その一心でこの1週間は過ごす。
一切の手は抜きたくない。
お笑いがないと存在価値がなくなる。
面白いという能力は欲しいものではない。
逆襲のために持っていなければならないもの。
待ってろ世の中俺が腹から笑かしにいく。
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