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積み重ねた思い出とか音を立てて崩れたって

大好きなエルレの歌でも歌って自分で自分を励ましたくなるくらい、ハワイが大変だ。世界中を騒がせている新型コロナウイルス。ハワイも例外ではなく、先週から慌ただしい日々が続いている。わたしが恐れていたその時は、緩やかに、だけど確実に迫っていた。

2020年3月18日(木)
ホノルル市のカーク・コールドウェル市長は、オアフ島内にあるバー・クラブの閉鎖及びレストラン内での飲食の禁止を発表。3月20日(金)8:30よりレストランでの店内飲食が禁止となり、テイクアウトかデリバリーのみ可とする。

この発表により、ワイキキをはじめとするハワイの多くの飲食店が休業や時間短縮などの措置に追われた。テイクアウトが可能なお店はオープンしているものの、一時休業しているお店も多く、いつも賑やかなワイキキは嘘のように静まり返っていた。

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(ワイキキの様子)

しかもこの日のハワイは、「曇り空」なんて可愛い言葉で片付けられないほどお天気が悪く、まるでこの世の終わりみたいだなと、考えたくもない言葉が浮かぶほど心にずっしり来るものがあった。

タイムラインから流れてくる日本の様子とこちらでは、あまりにも温度差がありすぎて、理解することを拒むように頭が真っ白になった。


感染するのも怖いけれど、寂しい街並みや、買い占めなどで人々がパニックになることも怖い。しかも私はハワイにきて1年。どこかに大きなコネや人脈がある訳でもなく、こちらに家族がいる訳でもないので、ハワイ生活をする上できっと弱者だ。

どうしよう。どうしたらいいの。悲しい。不安。ショック。無力。大好きな場所で、わたしにできることは何?

そんな思いがぐるぐるしたまま、ネガティブにならないように、どうにかこうにか心を保とうと必死だったのを覚えている。


次の日の金曜日はお天気も無事に回復。天気がいいと元気になるのは、わたしだけではないと思う。太陽の力は偉大だ!

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レストランのテイクアウトが始まるのが明日(3/20)からということもあって、豪華に外食をする人が多かった。レストランは行列だったそう。

ちなみにこの日はハワイにきて1年の記念日だったのだけど、引越しの準備と掃除をしていたら晩御飯を食べるのを忘れた。1年記念日はケーキでも食べようと思っていたのにな。


そしてまだまだ続く知事のアナウンス。

2020年3月21日(土)
ハワイ州のデーヴィット・イゲ知事は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、26日(木)より、ハワイ州外からの到着者全員に14日間の隔離を義務付けると発表。

これは旅行で訪れた人も、ハワイに住んでいる人も関係なく「ハワイ入国者全員」が対象になるということ。つまり、他国へ旅行へ行っていたハワイの住民も、ハワイ旅行を計画していた日本を含む他国からの観光客も全員が14日間隔離される。事実上のロックダウンでは?と、ザワザワしていた。観光業で成り立っているハワイだから、経済も心配…。

そして昨日…

2020年3月22日(日)
ホノルルのカーク・コールドウェル市長は、オアフ島内での自宅待機令を発令。3月23日(月)16:30~4月30日(木)まで実施される自宅待機令は、オアフ島内在住者だけでなく、オアフ島に滞在中の訪問者も対象で、島内にいるすべての人に不要不急の外出を控えるよう要請している。
なお、違反者には、最大で$5,000の罰金か1年間の禁固刑、またはその両方が科される可能性がある。

参考:https://hawaiicovid19.com/wp-content/uploads/2020/03/2003162-ATG_Third-Supplementary-Proclamation-for-COVID-19-signed-12.pdf

Hawaii News Now

買い物や病院などの必要なこと以外は外出しないでね、と言う「命令」。恐れていたことが起こってしまった。

当初は、スーパーや銀行などに加え「メディア」はリモートワーク対象外とされていたので、メディア業界で働くわたしは、正直「明日からもオフィスにいける」と安心していた。(私は今の仕事や編集部のみんなが大好きなのだ。)

ところが、ここでいう「メディア」とは報道関係者などのことを指し、わたしたちが「メディア」枠に入るのかは微妙なライン。

そして今日上司から伝えられたのは「4/30までリモートワーク」という言葉だった。健康を守るために必要なことなので、この決定には従うし、もちろん文句もない。誰も悪くないのも分かっている。

ただ…。

本音を言えば、とっても寂しい。

人と会えない、話ができない、というのは想像以上にハードルが高い。要は、たった1人で40日間もリモートに耐えられる自信がないのだ。あと、わたしは編集部のみんなが本当に大好きなので、会えないのがとても寂しい。

オフィスにいても始業から終業までずーっと喋っている訳ではないけれど、誰かの会話が聞こえてきたり、キーボードを叩く音や、ランチタイムの談笑など、人の気配がどれだけありがたいか身にしみてわかる。(だから、家族がいる人はいいな…とちょっと羨ましく思ったり。)

「失った時に大切なものに気づく」なんて人生で何度も経験してきたはずなのにね。(失った訳ではないし、普段から感謝しているけれど、それくらい不安な気持ち。)

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スーパーのデリは、パックに詰めて販売している。好きな分量、好きな種類をパックに詰めて買うシステムがすごく好きだった。

人と会えないことも寂しいけれど、いつもは賑わっている街がとっても静かで人の気配がないのも、お店を経営しているお友達や知り合いが「困ったな…」とうつむきがちに言うのも、心が締め付けられる。

いつも大きなスマイルで笑いかけてくれるハワイの人たちが悲しそうな顔をしているのも辛い。

大きなことが自分にできる、だなんてこれっぽっちも思っていないけれど、わたしを救ってくれたハワイの人たちは、やっぱり楽しそうにゴキゲンに「ALOHA〜!」と言っててほしい。

私は感受性が豊かで共感性が高いから、他人の気持ちを敏感に感じ取ってしまって余計に心が引きつる感覚がするのだと思う。でも、それを抜きにしたって好きな街や、好きな人たちが悲しんでいるのは切ない。

エゴと言われればそれまでだけど、「陽気で明るくて、そこにいるだけで何だか元気がもらえて、パワーがみなぎってくるハワイ」が、どうかどうか1日でも早く戻ってきますように、と願わずにはいられない。何か自分にできることはないか、ずっとずっと考えている。

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大好きなエルレガーデンの細美さんが「俺が泣くのはハッピーエンドって決まってんだよ」と言っていたように、わたしが泣くのもきっとハッピーエンドって決まってるし、これが何も終わりなわけじゃない。

ハワイのみんなが笑って40日後を迎えるための準備。

感染者を増やさないことと、わたしの寂しさなんて比較対象にすらならないことは十分分かっているんだけどね。分かった上で、気持ちの整理がつかないまま書いてしまった。けれど、誰かを傷つけようなんて気持ちは少しもないことは伝わってくれたらいいなと思う。

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以前撮影したワイキキビーチ。早くビーチにも行ける日がきてほしい

中学の仲良しだったクラスメイトの男の子が、合唱コンクール(クラス対抗で課題曲を歌って競う大会)で、「負けたくない。負けらんないし、絶対負けねえ。」と気合たっぷりに言っていて、その言葉がなぜか心に響いて、10年以上経った今でも覚えている。

ハワイと、これからリモートで過ごす自分に対して、そう言い聞かせながら、40日後を迎えたいと思う。

5/1は、みんな最高の顔で笑って出社してやるんだ。

ハワイは絶対に負けない。

ハワイや日本だけではなく、世界中で過ごしている皆様の無事も願っています。1日でも早く収束しますように。

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