家族随想
長姉と次姉と話している時は、毎回さだまさしの話題が一度は出る。
父母がさだまさしのカセットを多く持っていたからだ。
1976年、父が26才、母が24才の時、さだまさしは24才で、グレープを解散し、ソロデビューした。
さだまさしは一年に一枚のペースを保ってアルバムを出し続け、1985年には2枚、出した。
1枚目が6月発売の『アドバンテージ』、2枚目が12月発売の『自分症候群』である。
前者はオリコン最高位4位、後者は8位と、結構売れている。
長姉は、『自分症候群』の話をよくする。
好きなアルバムとか名盤ということは言わない。
『自分症候群』のカセットを車の中で延々と繰り返し聴いた、という話をする。
1989年に家族四人で四国の実家へ旅行した際には、ずっとこのカセットを車内で聴いていたそうである。
それで、このアルバムのなかの曲はどれも、今でも鮮明に思い出せるという。
中でも「八つ目の青春」という曲は、印象鮮明だという。
この歌は自動車と恋愛を結び付けた曲で、楽しく、寂しい。
「ほんの少し寂しそうな僕の荷物越しに、蒲田方面から朝の日差し」という最後の一節は私も昔から好きである。
「八つ目の青春」さだまさし(『自分症候群』A面の4曲目)
映像は恐らく1985年か1986年の、池袋でのライブでの演奏。
最近になって、私は1989年の私の家族たち、つまり私が生まれる前年の家族の姿を、以前よりリアルに想像できるようになった。
父はその年39才、母は37才だった。