三、宇野弘蔵
私はマルクス主義をよく知らない。ただ、「安易にのめり込まない方がいいもの」という感じが何となくあり、深く学ばずに生きてきた。その感覚は今日も変わっていない。しかし今引用した宇野弘蔵(マルクス主義経済学研究者)の本は、文章に味わいがあり、不思議な魅力がある。おそらく何度も読む本になると思う。
宇野弘蔵とはどういう人か。『資本論に学ぶ』の著者紹介文を引用する。
宇野弘蔵の文章を読むと落ち着く。マルクス主義を勉強せずこんなことを言っている私は叱られるとは思うが。
この文章から感じる雰囲気は、「1.なぜ書くか」の冒頭に書いた精神科医の雰囲気に似ている。
宇野弘蔵はこのように穏やかに語りつつ、時々どきっとするような一節を吐く。
人間の能力の商品化は、2023年においては当たり前の現実になっている。いやなこっちゃな、とは思う。が、では何をし、何を考えるべきか、今はまだ分からない。私に出来る事は、今のところは、こうして本を読んだり文章を書いたりして心を落ち着けつつ、出来るだけ心穏やかに生活を続ける事であると思う。焦らず行きましょう。
(2023年6月13日)